― 殺処分の現実と体温管理・ミルク・病気の知識 ―

生まれたばかりの子猫は、とても弱く、ほんの少しの遅れや判断ミスで命を落としてしまうことがあります。
実際、保護された子猫の中でも、翌日までに1匹亡くなってしまうケースは決して珍しくありません。
この記事では、先日開催された「ちよだ猫まつり2026」でのイベントで現役獣医師が実際に語られていた内容をもとに、
- なぜ子猫は命を落としやすいのか
- どうすれば救命率を上げられるのか
- 行政の殺処分問題の背景
- 保護したときに最低限やるべきこと
を、沢山の方に知識として知ってもらいたくて、わかりやすい解説にしました。
ぜひ最後までお付き合いください。
引用・参考文献:たちかわ動物病院 院長太刀川史郎獣医師
小さな子猫と出会ったら〜新生猫の医療とケア
ちよだ猫まつり2026より
たちかわ動物病院公式HP
なぜ子猫はこんなに死にやすいのか?

子猫をは生まれてから、すべての命がすくすく成長するとは限りません。
なぜかというと、生後0日〜数週間の子猫は、
自力で体温を保てず、ミルクも自分で飲めず、排泄もできないからです。
特に問題になるのが…
- 体温低下(低体温)
- ミルク不足
- 感染症
- 他の兄弟に押し負けて飲めない
猫は一度に4・5匹子猫を生むことが多いため、一見すると元気に鳴いている様子が見られますが、その中でも「一番動かない子」「一番鳴かない子」は要注意です。
声の大きい子に目が行きがちですが、
本当に危ないのは静かな子です。
行政で子猫が殺処分されてしまう現実

環境省のデータでは、毎年多くの犬猫が行政施設に収容されています。
その中でも特に多いのが「ミルクが必要な子猫」です。
なぜ子猫は殺処分されやすいのか?
その理由は、子猫へのお世話の大変さが関係してきます。
- 2〜3時間おきのミルク
- 夜中も世話が必要
- 休日も対応必須
しかし行政施設はそのお世話に完全に対応ができません。問題は…
- 夜間は無人
- 土日は職員がいない
- 家に持ち帰って世話できる人が限られる
つまり、人手が足りず「育てられない」から処分されてしまうのです。
殺処分ゼロにする唯一の方法
答えはひとつです。
『不妊去勢手術(TNR)を徹底すること』
猫は1年で何倍にも増えます。
1匹を救っても、外で増え続けていれば意味がありません。
基本原則は…
- 産ませない
- 増やさない
- 地域で管理する
これが「地域猫活動」の本質です。
子猫は本来、母猫が育てるのが一番
もし母猫がいるなら、
人間が連れ去らず、母猫に育てさせるのが最善です。
母猫がいない場合だけ、人が介入して
- 人工哺乳
- 人の手で育てる
という選択をとることになります。
子猫を保護したら最初にやること
1.まず体温を上げる(最重要)

子猫の場合、自分で体温を安定させることはできません。そのため、子猫の体温を上げることが最重要となります。
もし、低体温のままお世話をすると…
- ミルクを飲めない
- 消化できない
- すぐ衰弱する
なので、目安体温の36〜38℃まで温めましょう。
方法はいかのとおり
- 湯たんぽを使用する
- 電子レンジ用あったかグッズ
- ぬいぐるみで疑似ママ
※但し、火傷・乾燥に注意すること(温度は人肌程度、湿度50%前後)
2.ミルクを与える(準備と与え方)
①週齢(年齢)を確認する
子猫の週齢は歯の生え方で判断できます。

なぜ週齢を確認する必要があるのか。
週齢がわからないと…
- ミルク量が決められない(週齢の程度より多いと誤飲性肺炎を起こしてしまう)
- 薬が使えない
- ワクチン計画が立てられない
②正しいミルクの与え方

絶対NG:牛乳
なぜ牛乳はだめなの?
理由は牛乳に含まれる「乳糖」の分解酵素が少ないため…
- 下痢をおこしてしまう
- 腸内トラブルがおきてしまう
また、牛乳に含まれる「カルシウム」や「マグネシウム」が尿路結石の原因になります。
必ず「猫用ミルク」を使用しましょう。
★ミルクの作り方
- お湯80℃で作る(殺菌のため)
- 与える前に必ず冷ます(あ35〜38℃)
- 手首で温度確認
★ミルクの頻度

週齢によって頻度がとても重要で、夜中も与える必要があります。
尚、6時間以上空けるのは、低血糖や脱水症状を起きしてしまうため危険です。
3.排泄の介助も必須

子猫は自力で排泄できません。
実は、各子猫によってどんなタイミングで排泄をしたいかは違ってきますが、まずはミルク後に以下の手順で介助をしてあげます。
- ティッシュやガーゼでお尻を刺激
- おしっこ・うんちを出す
排泄の介助をしてあげないと…
- 便秘
- 膀胱破裂
- 腸閉塞
になってしまいます。
4.体重測定は命のバロメーター

お世話をしていて順調に育っているかを確認するには毎日の体重の増え方を見るのが良いです。
健康な子猫は、1日10gずつ増えていくことが目安となります。
毎日測ることで…
- 体調悪化がすぐわかる
- ミルク不足がわかる
- 病気の早期発見になる
★離乳期に起こりやすいトラブル

生後3〜5週頃、歯が生え始め、成長が顕著に現れるようになると
- 乳首を噛む
- ミルクを拒否
- 固形食も食べない
というとトラブルが発生することがあります。
この時期は…
- 指にミルクをつけて舐めさせる
- 徐々に食感に慣らす
など、対応に工夫が必要になってきます。
飲まない、食べないを続けてしまうと餓死します。
★誤嚥性肺炎に注意
シリンジ(注射器型)で無理に流し込むと…
- ミルクが肺に入る
- 即、呼吸困難
- そのまま死亡するケースも
「飲まない=量を増やす」は危険です。
5.感染症対策として他の猫がいる場合は必ず隔離

先住猫がいる場合は特に、最低2週間は隔離が必要です。
その理由として、先住猫に感染症の可能性のある
- ウイルス
- 寄生虫
- 真菌(カビ)
- ノミ
がいる可能性があるからです。
人に感染する可能性もあります。
他にも猫同士、ストレスを与えてしまうことを防ぐ意味もあります。
↓何かあったときにすぐに病院へ行ける
6.子猫によくある病気チェック

毎日の様子や変化をしっかりチェックする必要があります。
毎日見るべきポイントは…
- 目:目やに、腫れ
- 鼻:鼻水、くしゃみ
- 口:潰瘍、歯の異常
- 皮膚:脱毛、赤み
- 耳:黒いカス(ノミ)
異常があれば必ず病院へ。
最後に:子猫救命で一番大事なこと
今回のトークイベントで学んだことをまとめると…

- まず子猫を温める
- ミルクは正しく
- 排泄介助必須
- 毎日体重測定
- 感染症に注意
- できればすぐ動物病院へ
そして何より重要なのは
「産ませないこと」
こそ最大の命の保護。
かわいそうな子猫を減らす根本的に解決するには、「不妊去勢」が最優先です。
まとめ
子猫は低体温とミルク不足で簡単に命を落とします。
救うには「保温・正しい哺乳・排泄介助・感染対策」が必須。
本当の解決策は、不妊去勢によって「産ませない社会」を作ることです。
ブログ管理者:jyosui






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