こんにちは、jyosuiです!

猫の慢性腎臓病について調べたことのある方なら、たぶんどこかで同じ一文にぶつかっていると思います。——いまの医療では、治すことができない。
点滴、療法食、リン吸着剤、血圧の管理。どれも大事な治療ですが、やっていることは「悪くなる速さを、できるだけゆるめる」ことです。傷んでしまった腎臓そのものが元に戻るわけではありません。それが、いまの常識です。
その前提が、いつか変わるかもしれない。そういう動きがあります。「AIM」というタンパク質を使った、新しい薬の話です。
私は獣医師ではないので、猫を飼養している立場から、公式発表と報道だけを頼りに「いまどこまで来ているのか」を整理しました。

この記事には、余計な広告は一切貼っていません。まだ承認されていないお薬の話なので、商品をすすめる形にはしたくありませんでした。事実と、その出典だけを置いています。
先にいちばん大事なことを書きます。
- この薬は、2026年8月現在まだ使えません — 承認の審査中で、動物病院で処方できる状態ではありません
- いま治療中の子は、その治療を続けてください — 待つことは、いまの手当てをゆるめる理由にはなりません
- 良い結果は出ていますが、治験投与されたのは5匹です — 期待と慎重さを、両方持っておきたい段階です
そのうえで、「どこまで進んだのか」「いくらくらいかかりそうなのか」「専門家はどう見ているのか」を順に見ていきます。気が重くなったら、途中で閉じてしまって大丈夫です。

むずかしいはなしだけど、しっぽの先だけでも知っておくと安心だにゃ🐾
まず前提:いまの治療は「進行を遅らせる」が中心です

慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の働きがゆっくり失われていく病気です。一度こわれた腎臓の組織は、元には戻りません。
だからいまの治療は、こういう組み立てになっています。
- 点滴(皮下補液) — 足りない水分を補って、体の負担をやわらげる
- 療法食 — たんぱく質やリンを調整して、腎臓の仕事を減らす
- リン吸着剤 — 血液中のリンが上がりすぎないようにする
- 血圧の管理 — 高血圧が腎臓をさらに傷めるのを防ぐ
どれも「症状をやわらげる」「進行を遅らせる」ための手当てです。腎臓そのものを治すアプローチは、これまでありませんでした。
ここが、今回の話のスタート地点になります。

CKDは猫にとってはみんな関係してくる病気にゃ。本当は治ってほしいけど、現状は維持する、病状を遅らせるしか方法がないのにゃ。
【2026年8月時点】いま、どこまで進んだのか

時系列で並べると、こうなっています。
- 2025年5月 — 全国26の動物病院で治験がスタート
- 2026年2月 — 販売名が「FeliAIM(フェリエイム)」に決定(4,931名から10,132件の公募)
- 2026年4月24日 — 農林水産省へ製造販売承認申請(申請したのは株式会社IAM CAT)
- 2026年6月 — 開発者の宮崎徹所長が「今年中に承認が下りれば」と期待を表明
- 2026年8月(いま) — 審査中。まだ承認は下りていません
つまり、「申請は終わって、返事を待っている」段階です。順調にいけば年内、という見方もあります。ただ、審査にどれだけかかるか、追加のデータを求められるかは、外からは分かりません。
費用は、どのくらいかかりそう?

報道では 「2週間おきに6回の注射で、10万〜15万円程度」 という想定が伝えられています。
ただしこれはあくまで想定額で、正式に決まったものではありません。承認の内容や流通のしかたで変わる可能性があります。

正直、安い金額ではありません。ただ、いまの治療も長く続ければそれなりにかかります。「負担が増える」ではなく「選べる手が増える」と考えるのが近いのかなと思っています。
AIM薬(FeliAIM)とは、どんな薬なのか

AIM(apoptosis inhibitor of macrophage)は、もともと体のなかにあるタンパク質です。腎臓にたまったゴミに目印をつけて、掃除をうながす働きがあります。
ところが猫は、このAIMがうまく働かないことが分かっています。そのため腎臓に老廃物がたまりやすく、腎臓病になりやすい——と考えられています。
FeliAIM は、その足りない働きを、外から補うという薬です。

- 腎臓にたまった老廃物の排除をうながす
- 腎臓へのダメージそのものを軽くする
症状をやわらげるのではなく、詰まりの原因のほうに手を入れる。これまでの治療とは、考え方がちがいます。

これは腎臓で起きている事を解消するのに役立つおくすりみたいにゃ。腎臓病が治るなら嬉しいにゃ。
治験で分かっていること

以下は、報告されている内容です。
- 対象 — 慢性腎臓病が進行した猫(ステージ3〜3b、重症の一歩手前)
- 投与 — 2週間おきに、計6回の静脈注射
- 結果 — 病状の進行が止まり、元気や食欲など全身の状態も改善
もっとも印象的なのは、生存の数字です。この状態の猫は、通常なら6か月で半数、1年で約8割が亡くなるとされています。それに対して投薬したグループは、6か月の時点で1匹も亡くならなかったと報じられました。
ただ、この数字は次の節とセットで読んでください。
⚠️ 期待とあわせて、知っておきたいこと

ここまで読むと、かなり良い話に見えると思います。私もそう思いました。ただ、慎重に見ている専門家もいます。
猫専門病院 Tokyo Cat Specialists の山本宗伸院長が、2026年3月に挙げている点です。
- 治験に参加した猫が少ない — 投与したグループは5匹、比べるためのグループが15匹です。さきほどの「6か月で1匹も亡くならなかった」は、この5匹の話になります
- ほかの薬と比べると規模が小さい — 関節炎の薬「ソレンシア」は275頭で治験をしていて、それと比べると見劣りするのは否めない、と述べられています
- グループの条件にかたよりがある — 投与したほうが年齢が若く、療法食を食べている割合も高かった
- 猫の負担が小さくない — 2週間おきの静脈注射です。通院が苦手な子には、けっこうな負担になります
そのうえで山本先生は、「新しい薬に懐疑的な視点を持つことは欠かせない」「過剰に喜ばず冷静に対応することが大事」と書かれています。
効果が本物である可能性は、十分にあると思います。数が少なくても、差がはっきり出ていれば意味のあるデータです。ただ「もう決まった話」ではない——そこは、そのまま受け取っておきたいと思いました。

期待値は高いけど、期待しすぎるのも良くないということだね。使用が開始されてからも情報を収集する必要はあるってことだね。
飼い主として、いまできること

この薬はまだ存在しないので、待つ以外にできることはありません。そのうえで、いまやっておくといいことが3つあります。
- いまの治療を、そのまま続ける — これがいちばん大事です。「遅らせる」ことの積み重ねが、その日まで届くかどうかを決めます
- かかりつけの先生に、承認後の予定だけ聞いておく — 「使わせてほしい」ではなく「承認されたら扱う予定はありますか」くらいがちょうどいいと思います
- いまの状態を記録しておく — 体重、水を飲む量、おしっこの回数。新しい治療を検討するときにも、この記録が効いてきます

あわてなくていいにゃ。いまのごはんとお水を、ちゃんと続けるのがいちばんにゃ🐾
📌 この記事を最初に書いたとき(2026年1月)
この記事は、もともと2026年1月に書いたものです。当時はまだ「4月に承認申請を予定」という段階でした。記録として、当時の見通しを残しておきます。
- 2025年5月から全国の動物病院で治験を実施 → 当時すでに終了していた
- 2026年3月ごろまでに、薬剤の安定性試験などのデータを整備
- 2026年4月ごろ、農林水産省へ承認申請の予定
- 審査が順調なら、2026年内の承認・実用化も視野
このうち「4月に承認申請」は、予定どおり実行されました(4月24日)。残っているのは、審査の結果だけです。
まとめ

- 猫の慢性腎臓病は、いまの医療では治せません — できるのは、進行を遅らせることです
- その前提を変えるかもしれない新薬「FeliAIM」が、2026年4月24日に承認申請されました
- 2026年8月現在、まだ承認されていません — 動物病院で使うことはできません
- 費用は6回で10万〜15万円程度が想定 — ただし正式決定ではありません
- 治験の結果は良好ですが、投与されたのは5匹 — 慎重に見る専門家もいます
- いまできる最善は、これまでの治療を続けることです
「治せないから、遅らせる」。この常識は、たぶんもうしばらく変わりません。この薬が承認されたとしても、それは選べる手立てが一つ増えるということで、腎臓病が治る病気になるわけではないと思います。
それでも、長いあいだ動かなかったところが動いているのはたしかです。その事実だけでも、いま闘っている方にとっては意味があるんじゃないかと思って、この記事を書き直しました。
動きがあったら、また書き足します。
この記事の情報源
- AIM猫薬「FeliAIM」の製造販売承認申請に関するお知らせ(一般社団法人AIM医学研究所・2026年4月24日)
- 株式会社IAM CAT ニュース(治験開始・販売名決定の日付)
- ネコの腎臓病薬、実用化迫る(時事通信・2026年6月6日/生存率・想定価格)
- あなたの獣医師がAIMについて冷静な理由(Tokyo Cat Specialists 山本宗伸院長・2026年3月/治験の頭数)
※ 2026年8月9日時点の情報です。私は獣医師ではありません。治療の判断は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。この記事は特定の薬をすすめるものではなく、承認前の医薬品を販売・あっせんするものでもありません。
🐾 あわせて読みたい
新薬の話の前に、いまの慢性腎臓病そのもの——どんな病気で、初期のどんなサインに気づきたいか、治療にどれくらいかかるのかは、こちらにまとめています。
腎臓病そのものについては、おうちで気づけるサインと、お金の備えをこちらにまとめています。
ブログ管理者:jyosui





コメント欄 あなたの愛猫のこと、保護猫活動情報を教えてください!!