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猫の慢性腎臓病(CKD)— 早く気づくために、おうちで見ておきたいこと

猫のお悩み解決

こんにちは、jyosuiです!

「最近うちの猫、水をたくさん飲むようになった」「シニアと言われる年齢になってから、ごはんの食べが少しずつ落ちている気がする」——こんな小さな変化が気になって、この記事にたどりついた方が多いのではないかと思います。

慢性腎臓病(CKD)は、シニア猫にとってとても身近な病気です。やっかいなのは、初期にはほとんど症状が出ないこと。だから「気づいたときには、けっこう進んでいた」ということが起こりやすいんです。

ここで先にお伝えしておきます。私は獣医師ではありません。診断も治療も、できるのは動物病院です。ですのでこの記事は、おうちで病気を見分けるためのものではなく、猫を飼っている立場から「病院に行くきっかけをつかむ」ことと「病院で状況を伝えられるように準備しておく」ことに軸を置いてまとめました。

この記事は、こんな順番で進みます。

  • 腎臓ってなにをしている臓器なのか(前提の話)
  • おうちで気づける、初期の5つのサイン
  • 健康診断で、何を測ってもらえばいいか
  • 治療費のことと、わたしなりの備え方
  • (ここから先)動物病院で説明される、診断・ステージ・治療の話

前半だけ読んで、「今度の健康診断のときに聞いてみよう」と思ってもらえたら、それでじゅうぶんです。後半は、実際に診断を受けたあとに戻ってきてもらう場所として置いています。いま必要でなければ、読まずに閉じてもらって大丈夫です。

jyosui
jyosui

尚、本記事は飼い主さんに「猫の健康」に本気で向き合ってもらいたいので、余計な広告は貼っていません。数字や分類は、動物病院で使われている一般的なものをまとめていますが、その子にあてはまるかどうかは、かかりつけの先生の説明がすべてです。

※この記事は獣医療の一般的な情報をまとめたものです。実際の診断・治療は必ずかかりつけの動物病院でご相談ください。

管理者のプロフィール
[この記事を書いた人]
jyosui

2023年10月末にペットショップで仔猫との運命的な出会いをきっかけにどっぷり猫沼に浸かってしまったアラフィフのサラリーマンおじさん。猫のことをもっとよく知りたいと、譲渡会・猫イベント・地域猫セミナーなどに積極的に参加。ねこ検定初級を受検するなど知識向上にも取り組み中。「世界中の猫を幸せにしたい!」を夢に、保護猫カフェ経営を目指して日々猫活中。

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  1. 慢性腎臓病(CKD)とは — 「治らない」けど「上手につき合える」病気
  2. 初期に気づきたい5つのサイン
    1. サイン① 水を飲む量が増えた(多飲)
    2. サイン② おしっこの量・回数が増えた(多尿)
    3. サイン③ 少しずつ体重が落ちている
    4. サイン④ 毛づやが悪くなった・毛づくろいが減った
    5. サイン⑤ なんとなく元気がない・寝ている時間が増えた
  3. 予防と早期発見 — 年1回の健康診断が、いちばんの近道
    1. 日常で意識したい5つのこと
  4. 気になる治療費のはなしと、現実的な備え方
    1. 「ペット保険」ではなく「貯蓄で備える」を推したい理由
  5. ここから先は、動物病院で説明されること
  6. 中期〜末期に進んだときに出る症状
  7. ステージ分類(IRIS分類)— 病気の進み具合を知るものさし
  8. 診断方法 — どんな検査でわかるの?
    1. ① 血液検査(腎機能マーカー)
    2. ② 尿検査
    3. ③ 画像検査(エコー・レントゲン)
    4. ④ 血圧測定
  9. 治療法 — 進行を遅らせる4つのアプローチ
    1. ① 食事療法(腎臓サポート食)
    2. ② 水分補給(脱水を防ぐ)
    3. ③ 投薬(リン吸着剤・降圧薬・吐き気止めなど)
    4. ④ 合併症への対処
  10. 食事療法 — 腎臓サポート食の選び方
    1. 腎臓サポート食の3つの特徴
    2. 代表的な療法食ブランド
    3. 「食べてくれない問題」をどう乗り越えるか
  11. 自宅でできる5つのケア
    1. ケア① 水を「飲みたくなる環境」を作る
    2. ケア② 体重を月1回チェックする
    3. ケア③ トイレ観察を毎日のルーティーンに
    4. ケア④ ストレスを減らす環境づくり
    5. ケア⑤ 「ちょっと変だな」を記録する
  12. 多頭飼いのお家で気をつけたいこと
  13. まとめ — 「気づくのが早ければ、長く一緒にいられる」病気

慢性腎臓病(CKD)とは — 「治らない」けど「上手につき合える」病気

まず、腎臓の役割からおさらいしましょう。腎臓は体の中の「ろ過装置」です。血液から老廃物や余分な水分をろ過しておしっこを作り、体内の水分量・電解質・血圧などを24時間調整しつづける、とても働き者の臓器。

慢性腎臓病とは、この腎臓の機能がゆっくり・少しずつ・元に戻らないかたちで低下していく状態を指します。ポイントは3つ。

  • ゆっくり進む:数か月〜数年単位で進行する。だから初期は気づきにくい
  • 不可逆:いったん失われた腎機能は基本的に戻らない
  • 進行を遅らせることはできる:適切な治療と食事で、寿命を数年単位で延ばせるケースが多い

つまり、CKDは「治す」ではなく「進行を遅らせる」病気。糖尿病や高血圧と同じく、長く上手につき合っていくタイプの慢性疾患です。「もう治らないんだ……」と落ち込む必要はありません。早く気づいて、適切なケアを始められれば、その子といっしょに過ごせる時間の長さも・質も大きく変えられます。

なぜ猫はCKDになりやすいのか? これにはいくつかの説があります。もともと猫は砂漠で水の少ない環境で進化した動物で、ぎゅっと濃いおしっこを作ることで水分を節約しながら生きてきました。その分、腎臓には常に強い負担がかかっています。さらに、人間と暮らすようになって寿命が延びたぶん、「腎臓を働かせ続ける年数」が長くなったのも一因と考えられています。

うちのオレオも、まだ若いからと油断していると、あっという間にシニア期に突入してしまいます。だからこそ「気づいたときには手遅れ」を絶対に避けたくて、わたし自身、ここ最近かなり真剣に勉強しているテーマです。

オレオのためにしっかり勉強するにゃ。少しでも長く美味しいものが食べたいからよろしくにゃ!


初期に気づきたい5つのサイン

CKDの初期サインは、どれも「日常のちょっとした違和感」として現れます。「いつもとなんか違うけど、病気ってほどでもないかな」——その違和感こそが、いちばん大事なシグナルです。

サイン① 水を飲む量が増えた(多飲)

もっとも初期に出る、もっとも見逃しやすいサインです。腎臓のろ過機能が落ちると、おしっこを濃縮する力が弱くなり、薄いおしっこが大量に出てしまいます。そのぶん体が脱水気味になり、水を欲しがるようになる——これが多飲多尿のメカニズムです。

目安としては、体重1kgあたり1日50mL以上の飲水が続いたら多飲のサイン。4kgの猫なら、1日に200mL以上(コップ1杯ぶん)を継続的に飲んでいたら要注意です。「最近、水入れがすぐ空になる」「あちこちで水を飲んでいる」と感じたら、まず数日分の飲水量を記録してみましょう。

サイン② おしっこの量・回数が増えた(多尿)

多飲とセットで起こるのが多尿です。トイレシートの吸収量がいつもより多い・トイレに行く回数が増えた・固まる猫砂が大きな塊になる——こうした変化があれば、おしっこの量が増えている可能性があります。

同時に、おしっこの色が薄くなるのも特徴。健康な猫のおしっこは濃い黄色ですが、CKDが進むと水のように薄い色になります。普段からトイレチェックを習慣にしておくと、この変化に気づきやすくなります。

サイン③ 少しずつ体重が落ちている

「ごはんはふつうに食べているのに、なんとなく痩せてきた気がする」——これも見逃しやすい初期サインです。腎機能が落ちると、たんぱく質をうまく利用できなくなり、じわじわと筋肉量が減っていきます。

とくに背中の骨や腰のあたりが目立つようになってきたと感じたら、ペット用の体重計で月1回はチェックを。半年で体重の5%以上が減っているなら、たとえ元気そうに見えても受診の目安です。

サイン④ 毛づやが悪くなった・毛づくろいが減った

腎機能が落ちると、体内に老廃物がたまりやすくなり、毛づやがパサパサ・ボサボサになっていきます。さらに、だるさから毛づくろいの時間が減り、被毛のお手入れが行き届かなくなることも。

「最近、ブラッシングしないと毛玉ができやすい」「お腹側の毛がペタッとしている」——こうした見た目の変化は、内臓のサインを反映していることがあります。

サイン⑤ なんとなく元気がない・寝ている時間が増えた

体内に老廃物がたまることで、軽い「だるさ」が常に続く状態になります。遊びへの反応が鈍くなったり、ジャンプの回数が減ったり、寝ている時間がじわじわ増えたり——「年だから」で片付けてしまいがちな変化が、じつはCKDのサインだったというケースは少なくありません。

「寝すぎ」と「危険なサインを伴う寝すぎ」の見分け方は、別記事の 猫が寝すぎるのは病気のサイン? — 正常な睡眠時間と危険な7つのサイン でも詳しく解説しています。あわせて読んでみてください。

jyosui
jyosui

毎日の食事とトイレのお世話をすること、定期的な体重測定。家族がいるならこのあたりの情報共有をしておくと、少しの違和感に気が付きやすくなるね。


予防と早期発見 — 年1回の健康診断が、いちばんの近道

CKDは完全に予防することは難しい病気ですが、「進行が早くなる原因を減らす」「早く見つけて治療を始める」の2つで、その子の寿命と生活の質を大きく変えられます。

日常で意識したい5つのこと

  • 水分摂取の機会を増やす:水飲み場の数・ウェットフードの併用
  • 塩分・リンの過剰摂取を避ける:人間の食べものを与えない・おやつを与えすぎない
  • 口腔ケアを意識する:歯周病は腎臓の負担を増やす要因のひとつ
  • ストレスを減らす:静かな寝床・トイレ環境の整備
  • 年1回の健康診断(7歳以上は年2回):血液検査でSDMA・クレアチニンを必ずチェック

とくに5番目の「年1回の健康診断」は、CKD対策ではほぼ最強の選択肢です。シニア期(7歳以上)に入ったら、できれば半年に1回ペースで血液検査を受けるのが理想。SDMAは数千円のオプションで追加できる病院がほとんどなので、必ずお願いしましょう。

「健康診断って結局いくらかかるの?」と気になる方もいると思います。一般的な目安として、血液+尿+触診のセットで5,000〜1.2万円程度。SDMA込みなら+2,000〜3,000円。これで安心が買えるなら、決して高くない投資だと思っています。

オレオくん
オレオくん

ちょっと費用はかかるけど、早期に発見できることが一緒に長く過ごせる秘訣にゃ。オレオは家族と長く生活したいにゃ。


気になる治療費のはなしと、現実的な備え方

CKDは長くつき合う病気なので、どうしても気になるのが治療費です。地域や病院・ステージによって幅はありますが、おおよその目安として——

  • 診断時の検査(血液・尿・エコー一式):1〜3万円程度
  • 通院&投薬(ステージ2〜3・月1回ペース):月5,000円〜1.5万円程度
  • 療法食:月3,000〜6,000円(体格や形状で変動)
  • 皮下点滴(自宅・週数回ペース):月3,000〜1万円程度(用品込み)
  • ステージ4の入院・集中治療:1回あたり3〜10万円かかるケースも

ざっくり言うと、安定期で月1〜2万円・年間で15〜25万円ほどが一つの目安。ステージが進んだ年は、これに入院や追加検査が乗ることがあります。

「ペット保険」ではなく「貯蓄で備える」を推したい理由

このブログでは、何度かお伝えしている方針なのですが、わたしはペット保険ではなく「貯蓄で備える」スタンスを推しています。理由は3つ。

  • 保険料の総額が、結局かかる治療費に近づきやすい:長く払い続けるほど、月数千円×十数年=数十万円規模になる
  • 慢性疾患には対応しないプランも多い:CKDのような「ずっと続く病気」は加入後の発症でも、契約内容によっては給付が限定的なことがある
  • 貯蓄なら自由に使える:検査費・療法食・介護用品・看取りまで、保険の枠に縛られずに使える

もちろん、これは一つの考え方です。経済状況や家族構成によって、保険が合うご家庭ももちろんあります。ただ、「とりあえず保険」より、「とりあえず月5,000円の積み立て」のほうが、CKDのような慢性疾患には現実的なケースが多い——というのが、わたしのこれまでの結論です。

目安として、子猫〜成猫期から月5,000円を「猫の医療用口座」に積み立てると、10年で60万円。これがあれば、シニア期にCKDになっても落ち着いて選択肢を選べます。


ここから先は、動物病院で説明されること

ここまでは、おうちで気づく・確かめる・備えるという話でした。

ここから先は、実際に診断を受けたあとに獣医さんから説明される内容です。ステージの分け方、どんな検査をするのか、どんな治療があるのか——先に知っておくと、診察室での話が飲み込みやすくなると思います。

ただ、いま必要でなければ、ここで閉じてもらって大丈夫です。その子の状態はその子だけのものなので、最終的にはかかりつけの先生の説明がすべてです。ここに書いてあることは、あくまで「そういう言葉が出てくるんだな」という下準備として読んでください。

jyosui
jyosui

この先の記事は、いち愛猫家として「気になって調べてみた」事を共有するという感覚で読み進めて下さい。実際は獣医師さんに尋ねるほうがより確実です。

中期〜末期に進んだときに出る症状

初期のサインを見逃したまま進行すると、体は少しずつ「老廃物が抜けきらない状態」に近づいていきます。中期〜末期で見られる症状は、初期に比べてはっきりと表に出てきます。

  • 食欲不振:ごはんを残す・好きだったおやつも食べない
  • 嘔吐:老廃物(尿毒素)がたまることで、消化器症状として現れる
  • 口臭:アンモニア臭のような独特のにおいがする(「尿毒症性口臭」と呼ばれる)
  • 口内炎・歯ぐきの炎症:免疫力低下と老廃物の影響で起こりやすい
  • 貧血:腎臓が作る造血ホルモン(エリスロポエチン)が減るため。歯ぐきや耳の内側が白っぽくなる
  • 高血圧:腎機能低下の合併症。網膜剥離による失明の原因にもなる
  • 脱水:多尿で水分が抜けるのに、飲水が追いつかなくなる

ここまで進むと、ごはんを口にすること自体がしんどくなるので、栄養状態がどんどん落ちていきます。この段階に入る前に治療を始められるかどうかが、その子の寿命と生活の質を大きく左右します。


ステージ分類(IRIS分類)— 病気の進み具合を知るものさし

動物病院でCKDと診断されると、よく出てくるのが「IRIS(アイリス)分類のステージ◯」という言葉。IRISは「国際獣医腎臓病研究グループ」の略で、世界中の獣医さんが共通のものさしとして使っているステージ分類です。

分類のメインの指標は、血液検査で測る「クレアチニン(Cre)値」と、最近多くの病院で導入されている「SDMA」という早期発見マーカーです。ざっくり整理するとこんな感じ。

  • ステージ1(初期):症状はほぼなし。血液検査でわずかな変化があるレベル。SDMAで早期に拾える
  • ステージ2(軽度):多飲多尿が出始める。クレアチニンが基準値より少し高い
  • ステージ3(中等度):食欲不振・体重減少・嘔吐などが出てくる。クレアチニンがはっきり上昇
  • ステージ4(重度):尿毒症状態。点滴・入院などの集中的なケアが必要

ステージは、数字が大きいほど進行しているという意味です。さらに、ステージとは別に「尿たんぱく(UPC)」「血圧」という2つの軸でもサブステージが付きます。これらが高いほど、進行が早くなりやすいことが分かっています。

大事なのは、ステージ1〜2のうちに見つけられれば、その後の進行をかなりゆっくりにできるということ。だから「症状が出てから病院」ではなく、「症状が出る前に健康診断で見つける」が、CKDではとても重要です。


診断方法 — どんな検査でわかるの?

CKDの診断には、ふつう次のような検査を組み合わせます。

① 血液検査(腎機能マーカー)

もっとも基本となる検査。BUN(尿素窒素)・クレアチニン(Cre)・SDMAの3つを中心にチェックします。

  • BUN:腎機能のほか、脱水や食事内容の影響も受ける
  • クレアチニン:長く使われてきた指標。腎機能が約75%失われてから上昇する
  • SDMA:近年導入された早期マーカー。腎機能が40%程度低下した時点から上昇するので、ステージ1の段階で見つけやすい

② 尿検査

おしっこの濃さ(尿比重)・たんぱく質の漏れ(UPC)・血液の混入などをチェックします。とくに尿比重が1.030以下なら、腎臓の濃縮力が落ちているサインで、CKDの強い疑いに。

家でおしっこを採取して病院に持ち込む方法もあります。専用の「採尿スポンジ」を病院でもらえることが多いので、相談してみましょう。

③ 画像検査(エコー・レントゲン)

腎臓の形・大きさ・内部の様子を確認します。CKDが進むと腎臓が小さく萎縮することが多く、画像で形がいびつだったり、左右の大きさが違ったりすることが分かります。

④ 血圧測定

CKDの猫はかなりの確率で高血圧を合併します。専用のカフ(腕に巻く帯)で測定し、高ければ降圧薬を処方します。家庭で気づきにくい合併症なので、診断のタイミングで一度測ってもらいましょう。

「病院に連れていく前に、自宅でできることはないの?」と思う方もいると思います。その場合は、猫の不調、病院に行く前にできること——自宅で唾液から健康チェックという選択肢もあわせて読んでみてください。スクリーニングとしての自宅検査キットを紹介しています。


治療法 — 進行を遅らせる4つのアプローチ

CKDの治療は、「失われた腎機能を回復させる」のではなく、「残っている腎機能を長持ちさせる」のがゴールです。具体的には次の4本柱で組み立てます。

① 食事療法(腎臓サポート食)

もっとも効果が確立されている治療法。リン・たんぱく質・ナトリウムの量を調整した「療法食」に切り替えます。詳細は次の章でくわしく説明します。

② 水分補給(脱水を防ぐ)

多尿で水分が抜けるぶん、しっかり飲んでもらう必要があります。中等度〜重度では、皮下点滴(自宅でできる場合も)を併用することも。獣医さんに教わって自宅で続ける飼い主さんも多いです。

③ 投薬(リン吸着剤・降圧薬・吐き気止めなど)

ステージや合併症によって組み合わせを変えていきます。代表的なのは——

  • リン吸着剤:食事中のリンの吸収を抑えて、腎臓の負担を減らす
  • 降圧薬(ACE阻害薬・ARB):高血圧と尿たんぱくをコントロール
  • 吐き気止め(マロピタント等):食欲を保つために使う
  • カリウム補充:低カリウム血症を起こしやすいので必要に応じて
  • 造血ホルモン剤:重度の貧血があるときに使う

④ 合併症への対処

CKDは合併症の多い病気です。高血圧・貧血・口内炎・低カリウム血症・甲状腺機能亢進症など、症状ごとに個別の治療を組み合わせる必要があります。「腎臓だけ診ればいい」ではなく、全身を見ながら整える病気だと考えてください。


食事療法 — 腎臓サポート食の選び方

CKDの治療において、食事療法はもっとも「自宅でできて・効果がはっきりしている」アプローチです。研究でも、腎臓サポート食を続けた猫は通常食の猫と比べて生存期間が2倍以上になったという報告があります。やる価値はとても大きい治療です。

腎臓サポート食の3つの特徴

  • リンが少ない:腎臓の負担を減らし、進行を遅らせるもっとも重要な要素
  • たんぱく質が「質重視・量控えめ」:筋肉量を守りつつ、老廃物を減らす
  • オメガ3脂肪酸が強化:腎臓の炎症を抑える効果が期待されている

代表的な療法食ブランド

  • ロイヤルカナン:腎臓サポート(国内シェア大)
  • ヒルズ:プリスクリプション・ダイエット k/d
  • スペシフィック:腎心肝アシスト系
  • ジャパンペットフード(メディファス):国内メーカー系

どれも動物病院・ペット用品店・公式オンラインショップで購入できます。必ず獣医さんと相談のうえ、その子に合うブランドを選んでください。療法食はステージや合併症で推奨が変わるので、勝手にネットで決めるのは避けたほうが安心です。

「食べてくれない問題」をどう乗り越えるか

療法食でいちばんよくあるのが、「これに切り替えたら、猫が食べてくれなくなった」問題。CKDで食欲が落ちている子だと、なおさら難しくなります。コツは——

  • 急に全部切り替えない:1週間〜2週間かけて、いつものごはんに少しずつ混ぜていく
  • 同じブランド内で「形状」を変えてみる:ドライ・ウェット・パウチを試して、好みを探る
  • 少し温める:体温くらいに温めると香りが立って食欲が出ることが多い
  • 1ブランドでダメなら他社も試す:メーカーごとに風味がかなり違う。あきらめずに2〜3社試す価値あり

「ぜんぜん食べない」「数日でやめてしまう」場合は、無理せず獣医さんに相談を。食欲増進剤や、療法食以外で工夫できる方法もあります。


自宅でできる5つのケア

病院の治療と並行して、自宅でできるケアを積み上げると、進行のスピードを目に見えて遅らせられます。

ケア① 水を「飲みたくなる環境」を作る

CKDの猫にとって、水を飲んでもらうことは命綱です。とはいえ、猫はもともと水をあまり飲まない動物。飲水量を増やすコツはこんな感じです。

  • 水飲み場を家中に分散:リビング・寝室・廊下など、生活動線に3〜5か所
  • 器の素材を変えてみる:陶器・ガラス・ステンレスなど、好みは個体差が大きい
  • 自動給水器:流れる水を好む猫には特に効果的。フィルター付きで衛生的
  • ウェットフードを併用:水分量70%超のごはんで「食事から水分を摂る」発想
  • 常温で清潔に:冷たすぎず、こまめに替えるだけで飲水量が上がることも

ケア② 体重を月1回チェックする

CKDの進行スピードは、体重の変化に強く出ます。家庭用の赤ちゃん体重計(0.01kg単位で測れるもの)を1台買っておいて、月1回・できれば同じ時間帯に測る習慣を。半年で5%以上減っていれば、ステージが進んでいる可能性が高いサインです。

ケア③ トイレ観察を毎日のルーティーンに

おしっこの量・色・回数の変化は、腎機能の状態をいちばん正直に教えてくれるサインです。トイレ掃除のついでに、固まった猫砂の大きさをサッと見るだけでもOK。「いつもより塊が大きい日が続く」と感じたら、診察のときに必ず伝えましょう。

ケア④ ストレスを減らす環境づくり

ストレスは血圧を上げ、CKDの進行を早める要因のひとつです。静かな寝床・落ち着けるトイレ・触られすぎない時間——シニア猫が安心できる環境を整えてあげましょう。とくに来客や引っ越しのときには、いつも以上に配慮を。

ケア⑤ 「ちょっと変だな」を記録する

CKDの猫は、季節・気温・ストレスの影響で日々のコンディションが上下します。「飲水量がいつもより多い」「ごはんを残した」——こうした小さな変化を、スマホのメモにひと言ずつ残しておくと、いざ受診するときに獣医さんへの説明がとてもスムーズになります。診察の精度も上がります。


多頭飼いのお家で気をつけたいこと

多頭飼いのお家では、CKDの猫がいる場合、いくつか追加の工夫が必要です。

  • 食事を分ける:療法食は他の子が食べるとカロリー不足になることも。食事スペース・時間を分ける工夫を
  • 水場を増やす:他の子に占領されると飲めないので、CKDの子専用の飲み場を確保
  • トイレを分ける:おしっこの量を観察しやすくする。理想は「猫の頭数+1」のトイレ数
  • ストレスを最小化:他の子からの追いかけっこ・縄張り争いは血圧を上げる要因に
  • 他の子も健診を:CKDは年齢で増える病気なので、同居の高齢猫も予防的に検査を

多頭飼いで「だれがどれだけ水を飲んだ」「だれがおしっこをしたか」は、見分けるのが難しいケースもあります。可能なら、CKDの子は専用のスペース・専用の用品を用意してあげると、観察も治療も格段にやりやすくなります。


まとめ — 「気づくのが早ければ、長く一緒にいられる」病気

慢性腎臓病(CKD)は、猫の死因のトップに位置するけっして軽くない病気です。でも、「治す」病気ではなく、「上手につき合う」病気と考えれば、飼い主にできることはたくさんあります。

  • 初期サイン(多飲・多尿・体重減少・毛づや・元気のなさ)を見逃さない
  • 年1回の健康診断でSDMAを測ってもらう(7歳以上は半年に1回が理想)
  • 診断されたら、食事療法と水分補給を最優先で組み立てる
  • 治療費は貯蓄で備えるのが、長期的には現実的なケースが多い
  • 毎日のちょっとした変化を記録すると、診察の精度がぐっと上がる

「うちの子、年齢的にそろそろ気をつけないと」と感じた方は、まずかかりつけの動物病院に「健康診断にSDMAを足してください」とお願いするところから始めてみてください。それだけで、ステージ1のCKDを早期に見つけられる可能性がぐっと上がります。

うちのオレオも、シニア期に入る前にしっかり数値を取って、これからの10年をなるべく長く・なるべく元気に過ごしてもらおうと思っています。同じ気持ちのみなさんの参考になれば、とても嬉しいです。

関連記事もあわせてどうぞ。

もうひとつ、この記事とは少し性格のちがう記事をご紹介します。

ここまでお話ししてきたとおり、慢性腎臓病は、こわれてしまった腎臓を元に戻せない病気です。いまの治療は「進行を遅らせる」ことが中心になります。

ただ、その前提そのものに手を入れようとしている薬の開発が進んでいて、2026年4月に国へ承認申請が出されました。猫の腎臓病のために作られている薬です。

ただし、まだ承認は下りていません。いつから使えるようになるかも決まっていません。いますぐ治療が変わる、という話ではないんです。

ですので、いま目の前のことで手いっぱいという方は、ここで閉じていただいて大丈夫です。「そういう動きもあるらしい」——それくらいの気持ちで、余裕のあるときに読んでいただければと思います。

そして、承認が下りても下りなくても、早く気づいてあげることの大切さは変わりません。この記事に書いたことが土台になるのは、そのままです。

※ 本記事は獣医療の一般的な情報をまとめたものです。診断・治療方針は猫ちゃんごとに最適解が異なるので、必ずかかりつけの動物病院でご相談ください。

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