こんにちは、jyosuiです!

先日、江戸川区の「えどねこまつり」で、猫の防災のお話を聞いてきました。用意しておくとよいものの中に、こんな一言がありました。
「水は、硬水ではなく軟水のペットボトルで」
なるほど、と思ってメモしました。でも、家に帰ってから困りました。お店の棚の前に立っても、どれが軟水なのか分からないのです。「軟水」と大きく書いてある商品ばかりではありません。
それで調べはじめたのですが、思っていたより深い話でした。日本の記事と、海外の獣医さんの情報が、ほとんど反対のことを書いていたのです。
この記事を読むと、こんなことが分かります。
- 「軟水」という言葉が、じつは2つの意味で使われていること
- 猫と水のことで、どこまでが分かっていて、どこからが分かっていないのか
- ⚠️ ペットボトルを買うとき、ラベルのどこを見ればいいか
先にお伝えしておくと、私は獣医師ではありませんし、水の専門家でもありません。飼い主として調べたことを、どこで見つけた話なのかが分かる形で並べているだけです。
うちの子が療法食を食べていたり、おしっこの病気で通っていたりするなら、この記事よりもかかりつけの先生に聞くほうが早くて確かです。
「そこまで気にしなくていいかな」と思われた方は、次の「先に、大事なことを3つ」だけ読んで閉じていただいても大丈夫です。

ボクは、蛇口から出てるところを見るのが好きにゃ。器のより、新しそうな気がするにゃ
先に、大事なことを3つ

- ふだんの飲み水は、水道水で足ります。日本の水道水は、はじめから軟水だからです
- 買うなら、国産の軟水でほぼ外しません。ただし理由は「特別にいい水だから」ではなく、「いつも飲んでいる水に近いから」でした
- ⚠️ いちばんはっきりしているのは、何を飲むかより「どれだけ飲むか」です。水を選ぶより、飲む量が増える工夫のほうが、猫で確かめられています
ここから先は、なぜそう言えるのかを、ひとつずつ見ていきます。
「硬水」と「軟水」は、何がちがうの?
水には、カルシウムとマグネシウムという成分が溶けています。この2つがどれくらい入っているかを数字にしたものが「硬度(こうど)」です。
- たくさん入っている水 → 硬水(こうすい)
- あまり入っていない水 → 軟水(なんすい)
ちがいは、それだけです。数字は「mg/L」という単位で書かれます。1リットルの水に、何ミリグラム入っているかという意味です。
出し方の式もあります。日本ミネラルウォーター協会が示しているのは、これです。
硬度 = カルシウムの量 × 2.5 + マグネシウムの量 × 4.1
むずかしそうに見えますが、ラベルの数字を2つ入れるだけです。買い物のところで、もう一度出てきます。
じつは「ここから軟水」という決まりがありませんでした
ここが、調べていていちばん驚いたところです。
日本ミネラルウォーター協会は、硬さの分け方に決まった決まりはないと書いています。法律で定められているわけでもないそうです。実際に使われている目安は、大きく2つありました。
| WHO(世界保健機関) | 日本でよく使われる分け方 | |
|---|---|---|
| 軟水 | 60mg/Lより少ない | 100mg/Lより少ない |
| 中くらい | 60〜120mg/L | 100〜300mg/L |
| 硬水 | 120〜180mg/L | 300mg/L以上 |
| とても硬い | 180mg/Lより多い | — |
たとえば硬度80mg/Lの水は、日本の言い方だと軟水、WHOの分け方だと「中くらい」になります。同じ水なのに、呼び方が変わってしまうわけです。
「軟水を選びましょう」と書いてあるとき、どちらの意味なのかは、たいてい書かれていません。だったら数字を見たほうが早いな、と思いました。
日本の水道水は、はじめから軟水です

東京都水道局によると、東京の水道水の硬度は、平均で60mg/Lくらいです。
いちばん低いのはあきる野市の25.3mg/L、いちばん高いのは北区・中央区の87.6mg/L(どちらも令和5年度)。同じ東京の中でも、3倍以上のひらきがありました。水をとっている場所がちがうためです。
水道水の硬度には、法律の決まりもあります。300mg/L以下です。さらに東京都は「おいしさの目標」として10〜100mg/Lという数字も置いています。おいしいとされる範囲が、そのまま軟水の範囲と重なっている形です。
ここで、最初の話に戻ります。「猫には軟水を」と聞いてペットボトルを買いに行く前に、蛇口からもう軟水が出ている——これが、日本の多くの地域での話のようです。
「猫に硬水はダメ」を調べたら、話が割れていました

では、どうして硬水は避けたほうがいいと言われるのでしょうか。ここを調べたら、言っていることがバラバラでした。
日本でよく言われている理由
硬水には、カルシウムとマグネシウムがたくさん入っています。猫のおしっこにできる石は、こうした成分からできます。だから飲み水で足したくない——というのが、日本のペット情報でよく見る理由です。
話の筋は通っています。実際、そう書いてある記事はたくさん見つかりました。
アメリカの大学は、反対のことを書いていました
アメリカのミネソタ大学には、猫と犬の「おしっこの石」を専門にしている部門があります。そこが出している解説に、こう書かれていました。
意外に思われるかもしれないが、カルシウムやマグネシウムを多く含む硬水や水道水のほうが、蒸留水や軟水のミネラルウォーターより好ましい可能性がある。
ミネソタ大学獣医学部 Urolith Center「Does water type matter?」(2020年12月)より、筆者訳
「硬水は避ける」の、ちょうど反対です。
根拠にしているのは、人間の、石ができやすい患者さんを調べた研究でした。硬水を飲むと、おしっこに出るカルシウムは増える。ところが石ができた人の割合は、変わらないか、むしろ減った——という結果だったそうです。
どちらも、猫で試した話ではありませんでした
ここが、今回いちばんお伝えしたいところです。
同じミネソタ大学のページの最後に、こう書き添えられていました。
おしっこに石ができる犬と猫を対象にした研究は、行われていない。
同ページより、筆者訳
つまり「硬水はよくない」も「硬水のほうがいいかも」も、猫で確かめた話ではないということです。
片方は「成分から考えるとそうなるはず」という理屈。もう片方は「人ではこうだった」というデータ。どちらも猫ではありません。
ペットの情報は、犬の話や人の話が、そのまま猫の話として書き写されていることがあります。うちのブログでも、猫が食べてはいけないものの記事を見直したとき、犬のデータが猫の話として書かれているところが見つかりました。よく言われていることほど、どの動物で調べたのかを見ておくほうがよさそうです。
ひとつだけ、猫と水のかたさを並べた数字がありました
「本当に何もないのかな」と思って、もう少し探しました。ひとつだけ出てきました。ただし研究ではありません。
アメリカのペット保険会社トルーパニオンが、2016年に発表したものです。自分の会社に届いた保険金の申請と、アメリカの町ごとの水のかたさを並べてみた、という内容でした。
それによると、いちばん水が硬い町に住むオス猫は、それより軟らかい町のオス猫にくらべて、おしっこのトラブルが3倍多かったそうです。フロリダ州のタンパでは、おしっこに結晶が出たという申請が10倍以上あったとのことでした。
数字としては、かなり目を引きます。ただ、そのまま受け取れない理由もありました。
- 研究として発表されたものではなく、保険会社のお知らせです
- 比べているのは町ごとの申請の多さです。その猫が何を飲んでいたかは分かりません(浄水器やペットボトルの家も混ざります)
- 町がちがえば、気候も、飼い方も、病院へ行く回数もちがいます
おもしろいのは、発表した会社自身がこう言い添えていることです。
硬水と猫の結晶の関係をはっきりさせるには、もっと研究が必要だ。……でも、あわてて水を軟らかくする機械やボトルの水を買いに走らないでほしい。ペットの健康のことは、かかりつけの獣医師に直接相談を。
トルーパニオン社の獣医師(Chief Veterinary Officer)の発言。2016年4月7日のお知らせより、筆者訳
もうひとつ。ここで「いちばん硬い」とされているのは、マイアミやシカゴ、デトロイトといった町です。よく使われる分け方だと180mg/Lを超えると「とても硬い」ですが、東京の水道水はいちばん高い地域でも87.6mg/Lでした。
日本の水道水は、この話の外側にいると考えてよさそうです。
では、カルシウムとマグネシウムは猫に関係ないの?

ここまで「分かっていません」と書いてきました。でも、それは「飲み水のかたさ」の話です。
カルシウムとマグネシウムそのものは、猫でちゃんと調べられています。ここを混ぜてしまうと誤解のもとなので、分けて書きます。
ごはんのほうは、猫でちゃんと調べられています
よく引用されているのが、ミネソタ大学のグループが2001年に出した調査です。
石ができた猫と、おしっこに何ともない猫、あわせて約1,300匹ぶんのごはんを比べたものです。内訳は、シュウ酸カルシウムという石ができた猫が173匹、ストルバイトという石ができた猫が290匹、何ともない猫が827匹でした。
結果がおもしろくて、石の種類によって向きが逆だったのです。
| ごはんのカルシウム・マグネシウムなど | ストルバイト | シュウ酸カルシウム |
|---|---|---|
| いちばん多いグループ | できやすいほうへ | — |
| ほどほどのグループ | — | できにくいほうへ |
つまり「ミネラルは少なければ少ないほど安心」ではなかったわけです。私も、この記事を書くまで知りませんでした。
マグネシウムを減らしたら、別の石が増えました
この「向きが逆」は、実際に起きたこととしても残っています。
むかし、ストルバイトという石が問題になった時期がありました。そこでキャットフードは、マグネシウムを減らし、おしっこが酸性に寄るように作られていきました。
ストルバイトは、たしかに減ったとされています。ところがそのあと、今度はシュウ酸カルシウムという別の石が増えていったと報告されています。
どういうことかというと、この2つの石は、できる条件が反対なのです。
- ストルバイト……マグネシウムを含む石。おしっこがアルカリ性に寄るとできやすい
- シュウ酸カルシウム……カルシウムを含む石。おしっこが酸性に寄るとできやすい
片方を抑えにいくと、もう片方が出てくる。シーソーのような関係でした。
いまは「マグネシウムの量そのものより、おしっこが酸性かアルカリ性かのほうが効いている」という見方も出ているそうです。療法食が「ストルバイト用」「シュウ酸カルシウム用」と分かれているのは、こういう事情があってのことだったのだと思います。
⚠️ だからこそ、療法食を自分の判断で変えたり、市販のものに戻したりしないでください。どちらに寄せるのが正解かは、うちの子にできた石の種類で変わります。
腎臓は、むしろ「足りないほう」が心配されています
腎臓についても調べました。ここは、ちょっと意外でした。
腎臓の働きが落ちている猫174匹を追いかけた調査で、血の中のマグネシウムが少ない猫のほうが、亡くなるリスクが高かったという結果が出ています(2018年)。少なかったのは全体の12%で、その子たちのリスクはおよそ2.7倍でした。
2024年には、マグネシウムを足したごはんを試した研究も出ています。
「ミネラルは腎臓の負担になりそう」というイメージとは、向きが逆です。マグネシウムについては、足りないほうが心配される場面があるということになります。
ただし、ここははっきりさせておきます。これは血の中の量の話で、飲み水のかたさの話ではありません。「硬水を飲ませれば腎臓にいい」という意味には、まったくなりません。飲み水と結びつけた研究は、やはり見つかりませんでした。
それと、腎臓のごはんでいちばん中心になるのは、マグネシウムでもカルシウムでもなくリンです。ここも、かかりつけの先生の領域になります。
ここまでを、いちど整理します
| 何の話か | 猫で調べられているか |
|---|---|
| ごはんのカルシウム・マグネシウム | ✅ 調べられている(石の種類で向きが逆) |
| 血の中のマグネシウムと腎臓 | ✅ 調べられている(少ないほうが心配) |
| 飲み水のかたさ | 🔺 研究は見つからず。保険会社の集計がひとつ |
ですので、この記事で言えるのは「飲み水をどれにするかは、確かめられていないことが多い」というところまでです。
「猫にカルシウムやマグネシウムは関係ない」という意味ではありません。そこは、はっきり分けておきたいところでした。

「水のことは分かっていない、でもミネラルの話そのものは調べられている」。ややこしいのですが、ここを混ぜると読んだ方に誤解されてしまうので、分けて書きました
はっきりしているのは「何を飲むか」より「どれだけ飲むか」

水の種類については分からないことが多いのですが、猫と犬で確かめられていることも、同じページに載っていました。
ごはんに入っている水分を、7%から73%に増やしたところ、石のできやすさを表す数字が下がった——という結果です(2003年と2011年の研究)。健康な犬と猫で調べられたものでした。
7%と73%というのは、だいたいドライフードとウェットフードくらいのちがいです。
つまり「器の水」だけの話ではなく、ごはんから入ってくる水分もふくめた量ということになります。
そう考えると、順番はこうなります。
どの水を買うかより、うちの子が1日にどれだけ水分をとれているか。こちらが先です。
飲ませ方については、オレオがストルバイトになったときのことを別の記事に書いています。
器や給水器のほうは、こちらです。うちで一通り試して、けっきょくボウルに戻った話を書いています。
それでも軟水をすすめる理由が、もうひとつあります

ここまで読むと「じゃあ何でもいいのでは」となりそうです。でも、講演で聞いた「備えの水は軟水で」には、石とは別の理由があると思っています。
日本の水道水は軟水です。ということは、うちの子がふだん飲んでいるのも軟水です。
非常時に、そこだけ急にちがう水にしないほうがいい。そういう考え方です。
これは、防災の講演で聞いたフードのローリングストックとまったく同じ考え方でした。支援物資が届いても、うちの子が食べているフードが来るとはかぎらない。だからふだんのものを多めに買って、古いものから使う。
水も同じで、「いい水を用意する」ではなく「いつもと同じにする」という話だったわけです。
災害のときは、ただでさえ猫にとって環境が変わります。飲み水の味やにおいまで変わったら、飲まなくなることも考えられます。さきほどの「量が大事」とつなげると、ここはけっこう効いてくるところかもしれません。
講演の中身は、こちらにまとめています。
水道水のカルキは、抜いたほうがいいの?

「ふだんは水道水でいい」と書きました。そうすると、次に気になるのがカルキ(塩素)だと思います。私も気になったので調べました。
じつは「入れなさい」という決まりのほうがありました
ここも知らなかったのですが、水道水の塩素には決まりがあって、蛇口のところで0.1mg/L以上を残すようにと法律で定められています。
「減らしなさい」ではなく「消毒のために、ちゃんと残しなさい」という決まりのほうなのです。
上限のほうは、法律にはありません。東京都は、味やにおいに影響するという理由で「1mg/L以下におさえる」という目標を自分で置いています。人への影響については、WHOの目安が5mg/L以下だとも書かれていました。
では、猫はどうなのか。「水道水の塩素が猫に害になる」と確かめた研究は、今回は見つけられませんでした。ここも、分かっていないところです。
いっぽうで、においに敏感な子が、カルキのにおいで飲まなくなることがあるとはよく言われています。
これは「体に悪いから抜く」ではなく、「飲む量を増やすために抜く」という話です。うちの子が水を飲みたがらないなら、くみ置きしたり冷やしたりして試してみる価値はあると思います。
⚠️ カルキを抜いた水は、長持ちしません
ここは、はっきり書きます。塩素を抜いた水は、そのぶん菌が増えやすくなります。
東京都水道局も、沸かした水について「雑菌が繁殖しやすくなり注意が必要です。必ず早めに飲み切るようにしてください」と書いています。浄水器についても、中にたまった水は菌が増えやすいことがあると注意しています。
なので、こうなります。
- カルキを抜いた水を器に入れるなら、その日のうちに取り替える
- 備えの水にはしない。長く置くなら、塩素が入ったままの水道水か、開けていないペットボトルのほうが向いています
- 器そのものも、ぬめりが出る前に洗う
「抜きましょう」と書いてあるページを読むとき
調べていて気づいたことを、ひとつだけ書いておきます。
「猫の水は塩素を抜いたほうがいい」と書いているページは、浄水器やウォーターサーバーを売っている会社のものが多くありました。
まちがっていると言いたいのではありません。書いてあること自体は、水道局の説明とくいちがってはいませんでした。
ただ、どういう立場の人が書いたものかが分かると、読み方は少し変わると思います。このブログにも広告は載っていますから、そこは同じことです。
浄水器・白湯・ウォーターサーバーはどうなるの?
「うちは浄水器だけど、それはどうなの?」という疑問が出てくると思います。ここも整理しておきます。
| カルキ(塩素) | かたさ(硬度) | |
|---|---|---|
| ふつうの浄水器 | 減る | ほとんど変わらない |
| 軟水器(水を軟らかくする機械) | — | 下がる |
| 沸かす(白湯) | 減る | — |
| くみ置き | 減る | 変わらない |
つまり浄水器を通しても、水のかたさはだいたいそのままということになります。もともと軟水なので、そこは気にしなくて大丈夫だと思います。変わるのは、においと味のほうです。
白湯(一度沸かして冷ました水)も、塩素が抜けるという点では同じです。ただし前に書いたとおり、長持ちしません。
それと、猫は熱いものが苦手な子が多いので、人肌よりぬるいくらいまで下げてからにしてください。
ウォーターサーバーの水は、商品によって中身がかなりちがいます。天然水をそのまま詰めたものもあれば、ミネラルをほとんど取りのぞいた水もあります。サーバーの名前ではなく、その水の硬度を見ることになります。
「ペット用の水」は、何がちがうの?
ペットショップやネット通販には、「ペット用」と書かれた水が売られています。これも調べました。
中身としては、ミネラルをほとんど取りのぞいた水や、かたさをかなり低くおさえた水が多いようです。硬度でいうと30mg/L以下くらい、という説明をいくつか見かけました。
ここまで読んでくださった方なら、もうお分かりだと思います。国産のミネラルウォーターは、そもそも大半が軟水です。そして日本の水道水も軟水です。
「ペット用」という表示に、特別な決まりがあるわけでもありません。
否定したいのではありません。成分を見て納得して買うぶんには、まったく問題ないと思います。小さいサイズで売られていたり、注ぎやすい容器だったりと、使いやすいものもあります。
「ペット用と書いていないと危ない」ではない、というだけの話です。
買うときは、ラベルのここだけ見ます

お店の棚の前で困らないように、見るところをしぼっておきます。
「硬度」と書いてあれば、それで終わりです
ラベルの成分表のあたりに「硬度 ◯◯mg/L」とあれば、その数字を見るだけで済みます。
書かれていないときは、カルシウムとマグネシウムの数字をさがしてください。最初に出てきた式に入れれば出ます。
硬度 = カルシウム × 2.5 + マグネシウム × 4.1
⚠️ ただ、ここに落とし穴がひとつあります。国産の水のラベルは、たいてい「100mlあたり」で書かれています。この式は1リットル(1,000ml)あたりの数字で使うものなので、100mlあたりの数字は、10倍してから入れてください。そのまま入れると、硬度が10分の1に出てしまいます。
たとえば、ラベルに「100mlあたり:カルシウム1.0mg、マグネシウム0.2mg」と書いてあったら——
まず10倍して、カルシウム10mg/L、マグネシウム2mg/L。
10 × 2.5 = 25、2 × 4.1 = 8.2。足して33.2mg/L。どちらの目安で見ても軟水です。
⚠️ 同じ名前でも、水をくむ場所でちがいます
ここは見落としやすいところでした。
サントリーの公式Q&Aによると、『サントリー天然水』の硬度は、水をくむ場所ごとにこうなっています。
| くんでいる場所 | 硬度 |
|---|---|
| 北アルプス | 約10mg/L |
| 奥大山 | 約20mg/L |
| 南アルプス | 約30mg/L |
| 阿蘇 | 約80mg/L |
同じ名前の商品で、8倍ちがいます。
4つとも軟水として売られていますが、阿蘇の約80mg/LはWHOの分け方だと「中くらい」の側に入ります。
ですので、「この銘柄なら大丈夫」という覚え方はしないほうがよさそうです。そのボトルのラベルを見る。これが確実でした。
備蓄用の水は、硬度が書いていないことがあります
備えのために売られている5年保存・7年保存の水には、硬度が書かれていない商品もあります。
その場合は、カルシウムとマグネシウムの表示を見るか、メーカーの商品ページで確かめることになります。
ついでに言うと、海外の有名な水には硬水が多いです。エビアン、コントレックス、ヴィッテルあたりは硬水に分けられます。
人が飲むぶんには何も問題ありません。ただ、猫の備えとして選ぶなら、国産の軟水のほうが「いつもと同じ」に近いと思います。
うちはこうしています
普段の飲み水は「水道水」。浄水器は使わず、そのままの水道水をステンレスの給水ボウルに入れて毎日入れ替えています。また、朝夕のごはんに「ウェットフード+35mlの水」を混ぜて与えています。ウェットは1回に75g。80%は水分なので1回の食事に約100ml摂取している計算になります。水分が不足している時は、自分で摂取していることも確認しています。
オレオはストルバイト結晶の傾向があり、マグネシウム過多にならないように、フードの含有量を確認して与えています。ただ、主治医からは「水分はしっかりとるように」とは言われていますが、水の種類については「水道水で問題ありません」と言われた程度です。わざわざ「ペット用」とは言われたことはありません。
災害備蓄として、水は「いろはす」をローリングストックしています。この「いろはす」も軟水なので、水道水と近い水をストックしているということになります。採水地によって硬度が44mg/L差がありますが、日本でよく使われる分け方(100mg/L未満)では軟水になります。ただ、WHOの分け方(60mg/L未満)でも軟水のものを選ぶなら、サントリーの天然水(北アルプス)を購入するのがいいかもしれません。
【ストックにおすすめの軟水】サントリーの天然水の中の「北アルプス」。硬度は約10mg/Lで軟水です。南アルプスでも奥大山でも硬度は低いです。↓
これは、やめておいたほうがいいこと
ここまで「分かっていません」が続いたので、はっきり言えることもまとめておきます。
- 人間用のスポーツドリンクや、味つきの水はあげない。糖分や塩分の量が、猫向けではありません
- 「ミネラルをとらせよう」と思って硬水を選ばない。猫にその必要があるという話は見つかりませんでしたし、効果があるかどうかも分かっていません
- 水を替えて飲む量が減ったら、すぐ元に戻す。種類より量が先、というのがこの記事の結論です
- カルキを抜いた水は置きっぱなしにしない。その日のうちに替えてください
そして、これがいちばん大事だと思います。
⚠️ 療法食を食べている子や、おしっこの石で通っている子は、飲み水のことも一度かかりつけの先生に聞いてください。この記事は、一般に言われていることを並べたものです。うちの子の状態を見て言えることは、何もありません。備えの水を用意するときに、ついでに聞いておくと安心です。
まとめ

「猫には軟水を」から始めて、けっきょくこういうところに着きました。
- 硬度は式で出せますが、「ここから軟水」という決まりはありません。WHOは60mg/Lより少ない、日本では100mg/Lより少ないを軟水と呼ぶことが多いそうです
- 日本の水道水は、はじめから軟水です。東京は平均60mg/Lくらい(令和5年度・地域によってちがいます)
- 「猫に硬水はダメ」も「硬水のほうがいいかも」も、猫の飲み水で確かめた話ではありませんでした(保険会社の集計がひとつだけあります)
- ⚠️ ただし「ミネラルは猫に関係ない」ではありません。ごはんのカルシウム・マグネシウムは猫で調べられていて、石の種類によって向きが逆でした。腎臓のほうは、血の中のマグネシウムが少ない猫のほうが心配という結果です
- 犬と猫で確かめられているのは、水分をとるほど石はできにくい方向に動く、ということのほうです
- 備えに軟水をすすめるのは、「いい水」だからではなく「いつもと同じ水」だからと考えると納得がいきます
- ⚠️ 買うときは、ラベルの硬度。なければカルシウム × 2.5 + マグネシウム × 4.1(100mlあたりの表示なら、10倍してから)。同じ名前でも、くむ場所でちがいます
調べ終わってみると、拍子抜けするくらい普通の結論でした。
特別な水をさがすより、いつもの水を、いつもの場所に、切らさず置いておく。防災の講演で聞いた話とも、けっきょくはつながっていたように思います。

そんなに調べなくても、ボクはいつもの器で飲むにゃ。……でも、新しいのに替えてくれたら、ちょっと多めに飲んであげるにゃ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
【参考文献】
・ミネソタ大学獣医学部 Urolith Center「Does water type matter?」(2020年12月)https://vetmed.umn.edu/urolith-center/image-of-month/does-water-type-matter
・Stevenson ら・2003年(Res Vet Sci. 2003;74:145)/Buckley ら・2011年(Br J Nutr. 2011;106:S128)/Sulaiman ら・2020年(Curr Urol Rep. 2020;21:6)
・Lekcharoensuk ら「Association between dietary factors and calcium oxalate and magnesium ammonium phosphate urolithiasis in cats」J Am Vet Med Assoc. 2001;219(9):1228-37
・van den Broek ら「Prognostic importance of plasma total magnesium in a cohort of cats with azotemic chronic kidney disease」J Vet Intern Med. 2018;32(4):1359-71
・トルーパニオン社のお知らせ「Trupanion Study Finds Link between Pet Health and Drinking Water」(2016年4月7日)https://www.prnewswire.com/news-releases/trupanion-study-finds-link-between-pet-health-and-drinking-water-300248045.html
・東京都水道局「水の硬度」https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/02
・東京都水道局「塩素消毒」https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/07
・東京都水道局「よくある質問 水質<水道水の安全性・その他>」https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/faq/qa-22
・一般社団法人日本ミネラルウォーター協会「Q&A集」https://minekyo.net/pages/7/
・サントリーお客様センター「『サントリー天然水』の硬度を教えてください。」https://www.suntory.co.jp/customer/faq/001888.html
※ 本記事の図解はAIで作成しています。
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水をなかなか飲んでくれない、というところから始まった話です。
器のほうを一通り試した記録です。
この記事のきっかけになった、防災の講演です。
おしっこの検査は、健康診断でも見てもらえるところです。






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