こんにちは、jyosuiです!
先日おじゃました『しあわせにゃんこ』さんの譲渡会で、スタッフさんとお話ししていたときに「パルボって知ってる?」と聞かれました。恥ずかしながら、私は名前しか知りませんでした。猫と暮らして何年も経つのに、名前しか知らない病気があった。これはちゃんと調べておかないといけないな、と思ったのが、この記事を書いたきっかけです。
先にお断りしておきます。私は獣医師ではありません。ここに書いたことは、獣医学の公的な資料を読んで、飼い主にわかる言葉に置き直したものです。診断も、治療の指示もできません。最後は必ず、かかりつけの先生と決めてください。それと、うちのオレオはパルボにかかったことがありません。だからこれは闘病記でもありません。
※ 本記事の図解はAIで作成しています。
それでも書くことにしたのは、調べていて「これは飼い主が知っているかどうかで変わる」と思った点が、はっきりあったからです。
🚨 いま、子猫の具合が悪い方へ。
「ぐったりしている・ごはんを食べない・吐く」——この3つがそろっていたら、様子を見ずに、その日のうちに動物病院へ連絡してください。
パルボだった場合、進みがとても速い病気です。急性期は5〜7日ほどしかありません。ひと晩待つかどうかが、大きな差になります。

パルボって、なんですか
正式には「猫汎白血球減少症(ねこ はんはっけっきゅう げんしょうしょう)」といいます。長いので、原因になる猫パルボウイルス(FPV)の名前をとって「パルボ」と呼ばれることのほうが多いようです。「猫伝染性腸炎」という呼び方もあります。
名前のとおり、白血球が「汎(=すべて)」減ってしまう病気です。私が読んでいていちばん怖いと思ったのは、体の中で起きていることでした。このウイルスは分裂のさかんな細胞を選んで壊していきます。それにあたるのが、骨髄・リンパ組織・腸の粘膜。免疫をつくる場所と、栄養を吸収する場所が、同時にやられるということです。

英語では「feline distemper(猫ジステンパー)」とも呼ばれますが、犬のジステンパーとはまったく別のウイルスだそうです。名前が似ているだけで、関係はありません。
重くなりやすいのは、子猫です
症状が出るのは生後4週から2歳くらいまでが中心で、とくに子猫が重くなりやすく、突然死という形をとることもあるとされています。
逆に、ワクチンを打っている健康な成猫は、感染しても軽く済んだり、気づかないまま終わったりすることが多いようです。つまり危ないのは、ワクチンがまだ効いていない子猫。保護されたばかりの子、外で生まれた子、兄弟でまとめて暮らしている子——譲渡会に並んでいる子たちが、ちょうどその年齢です。
ワクチンが広まったおかげで、動物病院で日常的に見る病気ではなくなったそうです。ただ予防が届きにくい猫たちのあいだでは、いまも感染が多いとされていて、子猫を多頭で抱える保護施設では、世界的にも集団発生が起きやすい病気だと書かれていました。
アルコール消毒は、効きません
ここが、私がいちばん「知らなかった」と思ったところです。
| ウイルスの性質 | どういうことか |
|---|---|
| 環境で長く生きる | 条件がよければ最大1年、感染力を保ったまま残る |
| 多くの消毒薬が効かない | アルコールや一般的な除菌剤では不活化できない |
| 膜を持たない構造 | エンベロープがないため、乾燥にも消毒にも強い |
| 便に大量に出る | 感染した猫の便に、濃い濃度で排出される |
猫まわりの掃除で、アルコールのスプレーを使っている方は多いと思います。私もそうでした。あれはパルボには効きません。膜を持たないタイプのウイルスなので、アルコールが壊せる部分がないのだそうです。

効くのは、塩素系の漂白剤です
効くと確かめられているのは、強い酸化力を持つものにかぎられます。家庭で現実的なのは塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)です。
MSD獣医マニュアルには、6%の次亜塩素酸ナトリウム(家庭用の塩素系漂白剤)を32倍に薄めて10分置くと書かれています。ほかに過硫酸水素カリウム(100倍・10分)、加速化過酸化水素(16倍・5分)も挙げられていました。
🚨 使うときの注意です。塩素系漂白剤は酸性のものと混ぜると有毒なガスが出ます。そして猫にとっては刺激が強すぎます。猫を別の部屋に移して、換気して、しっかりすすいで乾かしてから戻してください。猫用の消臭スプレー代わりに日常使いするものではありません。
それと汚れが残っていると効かないそうです。便や吐物はまず物理的に取り除いて、洗って、それから消毒。布やカーペットのように洗いにくいものは、思い切って処分するほうが確実だと書かれていました。

猫どうしが会わなくても、うつります
そしてもうひとつ。これがこの記事でいちばんお伝えしたいことです。
パルボは、物について運ばれます。靴、服、手、食器、ケージ。感染した猫の便を踏んだ靴で家に帰る——それだけで、家の中にウイルスが入ってきます。

つまり、完全室内飼いをしていても、他人事ではないということです。うちの子は外に出ないから大丈夫、とはならない。持ち込むのは、人間のほうなんです。
譲渡会に足を運ぶ人、保護施設のお手伝いをしている人、外猫のごはんのお世話をしている人。猫のためにいい行いをしている人ほど、この経路の上にいます。だから知っておくかどうかで変わる、と書いたのはここのことです。

かかると、どうなるか
感染してから症状が出るまでは、ふつう2〜7日、長いときで14日ほどとされています。
出てくる症状
- ぐったりして動かない(元気消失)
- ごはんをまったく食べない
- 高い熱
- 嘔吐をくり返す
- 下痢(血が混じることもあります)
- それにともなうひどい脱水
兄弟で暮らしている場合、1頭ずつ、数日かけて次々に発症するという出方をするそうです。1頭に症状が出た時点で、ほかの子のことも一緒に相談したほうがよさそうです。
受診の目安 ── 線引きは、しません
正直に書きます。「ここまでなら様子見」という線を、獣医師でない私が引くべきではないと思っています。上に挙げた症状は、パルボ以外のいろいろな病気でも起こります。素人が見分けられるものではありません。
そのうえで、資料に書かれていた事実だけをお伝えします。急性期は5〜7日ほど。入院した猫の生存期間の中央値は、報告では3日でした。この病気に「様子を見る時間」はほとんどないということです。
迷ったら、電話だけでもしてみてください。受診するかどうかを決めるのは、電話に出た人のほうが得意です。

病院で行われること
診断は、症状と生活歴に加えて、便や吐物を使ったパルボ抗原の検査と、血液検査での白血球の減りかたで判断されるそうです。名前のとおり、白血球が大きく減るのが特徴です。
知っておくと少し落ち着けることが2つありました。ワクチンを打って14日以内だと、検査が陽性に出ることがある。そして症状が強いのに陰性だった場合は、時間をおいて再検査になることがある。1回の結果だけで決まらないことがある、と思っておくと、結果を待つ時間が少し楽かもしれません。
治療と、予後の数字
ウイルスを直接やっつける薬はありません。治療は、体が自分でウイルスを追い出すまで持ちこたえさせる支持療法が中心になります。点滴で脱水と電解質を立て直し、吐き気を抑え、弱った体に二次感染が起きないよう手当てをする。そういう形だそうです。
予後の数字も、隠さずに書きます。入院して手厚く治療を受けた猫の生存率は、報告で20〜51%。病院にたどり着く前に亡くなってしまう子は、この数字にも入っていません。
厳しい数字です。ただ「だから何をしても無駄」ということでは、まったくありません。助かる子は助かります。そして助かった猫は、そのあと長く、おそらく一生続く免疫を持つとされています。ずっとウイルスを出し続けるわけでもないそうです。ここは、安心してよいところだと思いました。ただ、回復した猫の便から、回復後6週間ほどウイルスが見つかることもあると書かれていました。回復してしばらくは、トイレの片づけのあとの手洗いを丁寧にしておくと安心です。
入院して治療を受けても、およそ半分から8割の子が助からないという報告は、私にとって衝撃的でした。猫の飼い主のみなさんにとっても、「予防をする」大きなきっかけになるのではないかと思います。子猫のうちは特に、帰ったら手を洗うこと、ワクチンを最後の1回まで打つこと。この2つで、パルボから愛猫を守ることを意識していきたいと思います。
妊娠中の猫が感染すると
お腹の子にも影響が出ます。流産・死産のほか、生まれたあとに小脳低形成という形で残ることがあるそうです。分裂のさかんな小脳の細胞が壊されるためで、足もとがふらつく・体が震えるといった状態が生涯続きます。
ただ、これは「かわいそうな子」という話ではありません。進行する病気ではなく、痛みをともなうものでもないとされています。段差を減らす、滑らない床にする。そうした住まいの工夫で、ふつうに暮らしている子はたくさんいます。
防ぐためにできる3つ

① ワクチンを、最後の1回まで
パルボのワクチンはコアワクチン——猫であれば基本的にすべての猫が打つべきもの、とされています。日本で「3種混合」と呼ばれるものに含まれています。
2020年のAAHA/AAFPのガイドラインでは、生後6週から始めて、3〜4週おきに、16〜20週齢までとされています。
「なぜ何回も打つんだろう」と思ったことはありませんか。私はありました。調べて納得したのは、こういう理由です。お母さんからもらった免疫(移行抗体)が、いつ切れるか読めない。移行抗体が残っているうちはワクチンが効かず、切れたあとは無防備になる。その切れ目がいつ来るか分からないから、間隔をあけて何度も打って、確実に1回は当てにいく。

この仕組みが分かると、最後の1回を飛ばすのがいちばん惜しいことになります。「もう2回打ったから大丈夫かな」ではなく、先生に言われた回数まで。これは強くお伝えしたいところです。
一度しっかり免疫がつけば、長く、おそらく生涯にわたって守られるとされています。成猫になってからの間隔は猫の暮らし方で変わるので、そこはかかりつけの先生と決めてください。
② 家に「持ち込まない」
- 玄関で靴を脱ぐ——日本の家の作りは、この点でかなり有利です
- 帰ったらまず手を洗う——猫にさわる前に
- 上着はいったん玄関に——猫のいる部屋まで持ち込まない
- 子猫を保護したら、先住猫とすぐ会わせない——別室で様子を見る期間をつくる
どれも特別なことではありません。「猫に会いに行った日は、帰ってすぐ手を洗う」——まずこれだけでも十分だと思います。
③ 迎えるときは、順番を守る
保護猫をお迎えするときは、まず動物病院、それから対面。譲渡してくださる団体さんは、たいていこの流れを用意してくれています。「ワクチンはどこまで打ってありますか」と聞くのは、失礼なことではありません。むしろ、きちんと活動されている団体さんほど、はっきり答えてくださいます。
そして、もし過去にパルボで猫を亡くしたお家に、新しい子を迎える場合。ウイルスが1年残ることを思い出してください。迎える前に、必ずかかりつけの先生に相談を。消毒の範囲も、待つ期間も、家の状況によって変わります。ここはネットの情報で決めていい話ではありません。
よくある疑問
人にうつりますか?
猫パルボウイルスが人に病気を起こすという記載は、読んだ資料の中にはありませんでした。ただし人は「運び手」になります。自分がかからなくても、靴や手でウイルスを運んでしまう。人が気をつける意味は、そこにあります。
犬から猫にうつることは?
あります。犬のパルボウイルス(CPV-2)は、猫にも感染して重い病気を起こすとされています。分類上も、犬のパルボと猫のパルボは同じ仲間にまとめられているそうです。犬猫を一緒に飼っているお家、犬猫を一緒に保護している施設では、知っておきたいところです。
ワクチンを打っていれば絶対に大丈夫?
「絶対」と書ける薬はありません。ただ資料には「非常に効果の高いワクチンが利用できる」とはっきり書かれていました。打っていない子と打っている子では、まったく話が違います。過信はしない、でも軽く見もしない——そのくらいの受け止め方が、ちょうどよさそうです。
回復した猫は、ずっとウイルスを出しますか?
いいえ、ずっとではありません。症状が出ている時期を過ぎると、長く排出し続けることはないとされています。ただ、回復した猫の便から、回復後6週間ほどウイルスが見つかることもあるそうです。回復してしばらくは、トイレの片づけのあとの手洗いを丁寧にしておくと安心です。回復後に免疫を持って、ふつうに暮らしていける子です。「一度かかった猫」を遠ざける必要はありません。
消毒は、家じゅうやらないとだめ?
実際に感染した猫がいたかどうかで、話がまったく変わります。いなかったのなら、日常の掃除に塩素系漂白剤を持ち出す必要はありません(猫にとって刺激が強いものです)。いた場合は、範囲も方法もかかりつけの先生に聞いてください。洗いにくい布ものは処分、という判断も出てきます。
まとめ
- 猫パルボ=猫汎白血球減少症。免疫をつくる場所と腸が、同時にやられる
- アルコールは効かない。効くのは塩素系漂白剤(32倍・10分)など
- 環境に最大1年残り、人が運ぶ。完全室内飼いでも他人事ではない
- 子猫で「ぐったり・食べない・吐く」がそろったらその日のうちに病院へ
- 治療は支持療法。入院しても生存率20〜51%という厳しい病気
- だからこそワクチンを最後の1回まで。帰ったら手を洗う
調べながら、正直こわくなりました。ただこわがるための知識ではないなとも思っています。やることは「ワクチンを最後まで打つ」と「帰ったら手を洗う」で、どちらも今日からできることでした。

そして、名前しか知らなかった私に教えてくれたのは、譲渡会のスタッフさんでした。会場でしか聞けない話があるというのも、今回わかったことのひとつです。
「猫を迎えて育てる」だけが、猫を飼うことではないのだと思います。「愛猫を守り育てる」ために知識を取り入れて学び続けることが、いざというときに早く判断するための材料になる。このウイルスを知って、そう感じました。
今後も、猫の飼い主として知っておきたいことを学んで、共有していきたいと思います。
ブログ管理者:jyosui
【参考文献】この記事の数字と医学的な内容は、次の資料によっています(2026年8月26日・10月29日 閲覧)。
・MSD獣医マニュアル「Feline Panleukopenia(猫汎白血球減少症)」……潜伏期・症状・診断・治療・生存率・消毒薬の希釈・ワクチンの回数・回復後の排出
・ABCD(欧州猫疾病アドバイザリーボード)「GUIDELINE for Feline Panleukopenia」……ウイルスの性質・環境中での安定性・有効な消毒薬
・2020年 AAHA/AAFP 猫ワクチネーションガイドライン(上記2資料が引用しているもの)……接種スケジュール
※筆者は獣医師ではありません。本記事は公開されている資料をまとめたもので、診断や治療の指示ではありません。気になる症状があるときは、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。
あわせて読みたい
子猫の急な体調の変化について、ほかにも気をつけたいことをまとめています。
お迎えのときのワクチンの話は、お迎え先の選び方の記事でもくわしく書いています。
保護猫を迎える前に聞いておきたいことは、譲渡会ガイドにまとめています。
下痢かどうかの見分け方は、うんちチェックの記事が参考になると思います。
パルボのことを教えてくださった『しあわせにゃんこ』さんの譲渡会のレポートです。団体さんがパルボについて公表しているブログにも、こちらから行けます。







コメント欄 あなたの愛猫のこと、保護猫活動情報を教えてください!!