こんにちは、jyosuiです!

猫と暮らしていると、「どうしてこれをするんだろう」という場面に出会います。トイレの外でしてしまう。夜中に鳴く。家具で爪をとぐ。急に噛む。
こういうものは「問題行動」と呼ばれます。ただ、この言葉を調べていて、最初に引っかかったのはそこでした。問題だと思っているのは、人間のほうだけなんですよね。猫の側には、たいてい理由があります。

そして、その理由を探すときに順番があるということを知りました。思いつきで対策を試すのではなく、可能性を上から順に外していく。いわば消去法です。この記事は、その順番の話です。
先にお断りしておきます。私は獣医師でも、行動の専門家でもありません。ここに書いたのは、資料を読んで飼い主にわかる言葉に置き直したものです。診断はできませんし、するつもりもありません。最後は必ず、かかりつけの先生と決めてください。
※ 本記事の図解はAIで作成しています。

オレオは問題児じゃないから関係ないにゃ。抗議するときだけ粗相するくらいにゃ。問題行動じゃないにゃ。
消去法は「まず体」から
結論から書きます。私はこの順番で考えるのがいいと思っています。
- 体を確かめる……病気やケガが原因ではないか
- 住まいを見直す……環境のほうに理由がないか
- 接し方をふり返る……その行動を、人間が育ててしまっていないか
- それでも残ったら……専門家に相談する
このうち「①体がいちばん先」は、獣医師向けの指針でも基本とされています(米国猫獣医協会(AAFP)と国際猫医学会(ISFM)の、家の中の粗相についての指針では、病気が原因かどうかを確かめることが診断の流れに組み込まれています)。②と③は、どちらが先という決まりはありません。手をつけやすい順に並べました。
うちも、はじめから順番どおりだったわけではありません。オレオがなんとなく荒れていた時期、最初に考えたのは「忙しくて、あまり遊んであげていないからかな」「ダイエット中で、ごはんが足りないのかな」ということでした。遊びを増やしたり、ごはんをカロリー控えめで量の多いものにしたりしても落ち着かず、結局の原因はトイレだったんです(くわしくは②で)。
🚩 いちばん見落とされやすいのが①です。
「しつけの問題だと思っていたら、体の問題だった」——これが起きると、猫は痛みや不調を抱えたまま、そのうえ叱られることになります。順番を守る理由は、ここにあります。

① まず、体を確かめる

猫は不調を隠す動物だとされています。弱っていることを見せると狙われやすかった、野生のころの名残と考えられています。だから体の不調は、行動の変化という形で先に出てくることがあります。
よく挙げられる組み合わせを並べてみます。「この行動なら必ずこの病気」という話ではありません。あくまで「体を先に疑う理由がある」という例です。
- トイレの外でしてしまう……膀胱炎や尿路の不調で、排尿が痛いことがあります。すると猫は「トイレ=痛い場所」と結びつけて、別の場所を選ぶようになる、とされています
- トイレに入るのをためらう・またぐのが遅い……関節の痛みで、縁を越えるのがつらいことがあります。高齢の子に多いとされています
- 夜中に鳴くようになった……甲状腺の病気、血圧、目や耳の衰え、認知機能の変化などが挙げられます
- 触ると怒る・急に噛む……どこかが痛い可能性があります。痛みは、その場所を触られたときだけでなく、全体の機嫌として出ることもあります
- 同じところを舐め続ける・毛が薄くなる……皮膚のトラブルや、その下の痛みが理由のことがあります
- 食べているのに痩せる/やたら食べる……行動というより、はっきりした体のサインとされています
いちばんの手がかりは「急に変わった」
資料を読んでいて、何度も出てきた言葉があります。
これまでできていたことが、急にできなくなった。
——これは、しつけではなく体を疑う理由になります。
子猫のころからずっとそうなら、環境や学習の話かもしれません。でも「先月まで普通だったのに」なら、順番として体が先です。年齢を重ねた子なら、なおさらです。大人〜シニアの猫は、病気がきっかけで粗相をすることがあるとされています。
ここで線を引くのは、私にはできません。「これくらいなら様子を見ていい」を素人が決めるべきではないと思っています。気になったら、動画を撮って持っていくくらいでちょうどいいのではないでしょうか。何もなければ、それがいちばんいい結果です。
オレオの場合、困った行動の原因が体の不調だったことは、いまのところありません。ただ、いつそうなるかは分からないので、困った行動が見られたときは、まず体に悪いところがないかをよく観察しています。
② つぎに、住まいを見直す
体に問題が見つからなかったとき、次に見るのは住まいのほうです。
猫の「困った行動」の多くは、猫にとって当たり前のことを、当たり前にできる場所がないときに起きるとされています。爪をとぐ、高いところに登る、隠れる、安全に排泄する。どれも本能に近いものです。
トイレまわりは、確認する項目が多い

- 数は足りているか……「猫の数+1」が目安とされています
- 大きさ……体長(鼻からしっぽの付け根まで)の1.5倍ほどが目安とされています
- 置き場所……人の通り道、洗濯機の横など音が出る場所は落ち着かないとされています。何個かあっても、同じ場所にまとめて置くと「大きな1個」と同じになってしまうので、離して置くのがよいとされています
- 行き止まりになっていないか……猫は逃げ道のある場所を好むとされています
- 砂が変わっていないか……粒の大きさや素材の好みは、思っているよりはっきりしています
- 清潔さ……人が「まだ大丈夫」と思う段階で、猫はもう嫌がっていることがあります
数と置き場所の話は、こちらに詳しく書いています。
爪とぎは「やめさせる」ではなく「移す」

爪とぎは、爪の手入れであると同時に、においと傷を残す自己主張でもあるとされています。つまりやめさせることはできない行動です。
できるのは移すこと。いま研いでいる場所のすぐ隣に、その子が好む素材と向き(縦か横か)の爪とぎを置く。同じ場所を守りたいなら、そこを研ぎにくくする。この組み合わせで動くことが多いようです。
「何も変えていない」は、案外変わっている
猫は変化に敏感な動物です。飼い主にとっては些細なことが、猫には大きいことがあります。
- 家具の配置、カーテン、ラグを替えた
- 人の生活時間が変わった(在宅が増えた・減った)
- 来客があった、工事の音が続いた
- 近所に外猫が来るようになった(窓の外も環境です)
- 新しい同居動物、赤ちゃん
- 洗剤や芳香剤を替えた
「困った行動が始まった時期」の少し前に、何か変わったことがなかったか。さかのぼってみると、心当たりが見つかることがあります。
ストレスの出かたそのものについては、こちらにまとめています。
うちのオレオも何度か、「トイレに入っているのに、枠の外におしっこをする」粗相をしたことがあります。前に投稿したブログにも掲載したのですが、結論、トイレが小さいこと(でも、本人より少し大きい程度)が気に食わないのだと判明し、早急にトイレを2回り大きいものにしました。
③ それから、接し方をふり返る

ここが、私がいちばん耳の痛かったところです。
行動というのは、その後にいいことが起きると増えると言われています。逆に言えば、続いている行動には、続くだけの理由が与えられているということです。そしてその「いいこと」を渡しているのが、しばしば飼い主だったりします。
よくある「育ててしまう」パターン
- 鳴いたらごはんをあげる……「鳴けば出てくる」を教えていることになります
- いたずらしたら駆け寄る……猫にとっては注目という報酬。無視されるより叱られるほうがマシ、ということが起こります
- 嫌がるのに抱き続ける……嫌だと伝える手段が、噛むことしかなくなっていきます
- 手で遊ぶ……手=おもちゃとして覚えます。あとで「噛まないで」と言っても、教えたのはこちらです
「消去」と、その途中で必ず来る山
報酬を渡すのをやめると、その行動はだんだん減っていきます。これを「消去」と呼びます。
ただ、ここにほとんどの人がつまずく落とし穴があります。

⚠️ 報酬をやめた直後、その行動は「いったん激しくなる」とされています。
消去バーストと呼ばれる現象です。
「効かないどころか悪化した」と感じるのは、たいていこのタイミングです。
猫の側からすれば当然で、「いつもの方法が効かない。もっと強くやってみよう」という反応です。ここで根負けして応えてしまうと、「もっと激しくやれば通じる」と覚えて、かえって長引くとされています。いちばん避けたい結果ですね。
だから消去をやるなら、山が来ることを先に知っておくことと、家族全員でそろえることがセットになります。ひとりでも折れると、そこで教え直しになってしまうからです。
やめさせるより、置き換える

とはいえ、ただ無視するのはあまり気持ちのいいやり方ではありませんし、それだけでは猫の側にやることが残りません。
よく勧められているのは「置き換え」のほうです。
- 要求鳴きなら……鳴きやんだ瞬間に応える。時間で決めてしまう方法もあります
- 手を噛むなら……手を引くのではなくおもちゃに持ち替える。噛んでいい物を渡す
- 爪とぎなら……禁止ではなく、研いでいい場所を隣に用意する
- いたずらなら……何もしていないときに声をかける。注目を、静かにしている側へ移す
叱ることについて
猫を叱っても、行動と罰が結びつかないとされています。結びつきやすいのは「その人が怖い」のほうです。獣医師向けの指針でも、トイレの失敗を叱らないこと、罰としてトイレに連れて行かないことがはっきり書かれています。
霧吹き、大きな音、鼻を押しつける——こうした方法も、同じ理由ですすめられていません。
そして粗相のように、体の不調が原因かもしれない行動を叱ってしまうと、猫はつらい状態のまま、さらに怖い思いをすることになります。①を先にやる理由が、ここでもういちど出てきます。
とはいえ、思わず声が出てしまう日もあると思います。私は、それで信頼が一度で壊れるわけではないと思っています。次からのやり方を変えていければ、それで十分ではないでしょうか。
うちの場合を、正直に書きます。うちでは「音」も使っています。
オレオは、自分のタイミングで構ってもらえないと、爪とぎのない壁で爪をとぐことがあります。ふだんはちゃんと爪とぎの場所でとぐので、爪とぎそのものが嫌なわけではなさそうです。
「それなら、こちらから先に構えば落ち着くかな」と思って、まずは定期的に遊ぶようにしてみました。でも、思いどおりのタイミングで構ってもらえないと、急にかんしゃくを起こしたように、壁で爪をとぎ始めてしまうんです。
いま、うちでやっている対処は2つです。
- その場を離れて、別の部屋に移る……構ってほしくてやっている行動なので、あえて反応しないようにしています
- 金物でうるさい音を立てる……「これをすると嫌なことが起きる」と覚えてもらうためです
音のほうは、なるべく私がやったと分からないように準備して鳴らしています。とはいえ、オレオにはたぶん気づかれていると思います。それでも嫌われてはいないのは、ふだんのお世話で「悪いやつじゃない」と思ってくれているからかもしれません。……たぶん、ですけどね。
オレオには効いている、と私は感じています。ただ、ほかの猫にも同じように効くかは分かりません。音そのものを怖がるようになる子もいるとされているので、試すなら、猫の様子を見ながらにしてください。私の考えとしては、「人がやった」と分かりにくい形なら、「これはやらない」という動機づけにはなると思っています。

オレオは叱られるのは怖いにゃ。でも叱られたことはないにゃ。
変えたあと、どれくらい待つか
消去法をやっていて、いちばん難しいのが「効いたかどうかの判定」でした。効果が出る前にやめてしまえば、外せたはずの原因を外せません。
目安として言われているのは、こんな感じです。
- トイレの数や場所を変えた……新しい形に慣れるまで、数日かかることもあります
- 爪とぎを置き換えた……気に入れば数日で移ることもあれば、素材が合わずに動かないこともあります
- 要求への応え方を変えた(消去)……最初は、かえって増えることがあります(消去バースト)。すぐにやめず、しばらく続けて様子を見るのが大事です
- 環境の大きな変化への慣れ……引っ越しや新入りは、数週間以上かかることもあります
そして、一度に2つ以上変えないこと。同時に変えると、何が効いたのか分からなくなります。消去法なのに、消去できなくなってしまいます。
3行のメモが、いちばん強い

専門家に相談するときも、自分で判断するときも、記録があると話がずっと進めやすくなります。行動の専門の診療科でも、飼い主の問診票と面談から原因を探っていきます。難しいものは要りません。
- いつ(日付と、だいたいの時刻)
- どこで(場所。粗相なら、どの面か・敷物か床か)
- 直前に何があったか(人の出入り、音、他の猫、ごはんの時間)
これをしばらくつけると、自分では気づいていなかった規則性が見えてくることがあります。「いつも夕方」「いつも家族が出かけたあと」——そこまで分かれば、疑う場所はぐっと狭まります。スマホのメモで十分ですし、写真や動画があればなおいいですね。
症状別・まずどこを疑うか
迷ったときの取っかかりとして、表にしておきます。あくまで「最初に見る場所」で、診断ではありません。
| 困っていること | まず疑う | 次に見る |
|---|---|---|
| トイレの外でする | ①体(排尿の痛み・関節) | ②トイレの数・場所・砂 |
| 急に噛む・触ると怒る | ①体(どこかの痛み) | ③さわり方・遊び方 |
| 夜中に鳴く | ①体(とくに高齢) | ③応えてしまっていないか |
| 家具で爪をとぐ | ②爪とぎの場所と素材 | ③注目していないか |
| ごはんの要求が激しい | ①体(食べても痩せる等) | ③鳴いたら出てくる学習 |
| 同じ場所を舐め続ける | ①体(皮膚・痛み) | ②環境の変化 |
| 隠れて出てこない | ①体 | ②最近の変化 |
この表で確認できる限り、問題行動が発生したら、まず気にしてあげることは、やはり体の様子です。
④ それでも残ったら

体を調べて、環境を整えて、こちらの反応も見直した。それでも続くことはあります。
そのときは獣医行動診療科という専門の分野があります。行動を専門に診る獣医師がいて、環境の調整から、必要なら薬まで含めて相談できます。日本では、日本獣医動物行動研究会が「獣医行動診療科認定医」を認定しています。かかりつけの先生から紹介してもらえることもあります。
ここまで書いてきて、いちばん伝えたいのはこれかもしれません。
困った行動が続いていることは、飼い主の愛情不足のせいではありません。
順番に外していってもわからないことは、専門家でも時間をかけて診るものです。ひとりで抱えて、自分を責める必要はないと思います。
おわりに
調べてみて残ったのは、「順番を守る」だけで、ずいぶん景色が変わるということでした。
思いつきで対策を試すと、効いたのか効かなかったのかも分からないまま、次を試すことになります。でも体 → 環境 → こちらの反応と順に外していけば、少なくともいま自分がどこを見ているのかは分かる。それだけでも、ずいぶん気が楽になる気がします。
愛猫にも人間側にもストレスを軽減できる接し方を考えてあげるのが問題行動を減らす大事な一歩でもあると感じました。問題行動を「叱る」で押さえつけないことや、消去法で原因を究明することが大事だと改めて思いますね。金属音もなるべくなら使わないようにしないといけませんね。










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