こんにちは、jyosuiです!

猫の飼い主さんなら必ずと言っていいほど経験する、愛猫の「トイレの失敗」。愛猫が若いときにも失敗してしまっていて、「忙しいのに…」とか「いやがらせ?」とイラッとする方も少なくないのではないでしょうか。
うちのオレオもたまにおしっこをトイレに入っていながらトイレの外にするという高等技術を見せてきます。それも早朝の忙しい時間帯に。
しかし、それはオレオからの「クレーム」として受け止め、何が嫌なのかを想像して対処するようにしています。
さて、シニア期になった愛猫、ずっとちゃんとトイレができていたのに、トイレのすぐ横で、してしまっている。ベッドの上が濡れている。どうして——。年をとった猫のトイレの失敗は、お世話のなかでも、いちばん戸惑うことのひとつだと思います。
掃除と洗濯が増えて、においも気になって。「叱ってはいけない」と分かっていても、思わず声が出てしまった日があるかもしれません。その気持ちは、まったく責められるものではありません。
ただ、調べていくうちに、ひとつはっきりしたことがありました。シニア猫のトイレの失敗は、「しつけ」の問題ではなく、「体」からのお知らせであることが多いということです。この記事では、まず確かめてほしいこと、その子が楽にできるトイレの工夫、そして飼い主さんの負担を減らす方法を、順を追ってまとめます。

トイレの失敗は、言葉では伝えられない愛猫からのメッセージにゃ。訴えたいことがあったり、現状を体が発信しているから受け止めてほしいにゃ。
まず — 「年のせい」で片づけないでください

いちばん最初にお伝えしたいのが、これです。今までできていた子が急にトイレを失敗するようになったときは、まず動物病院で診てもらうところからです。
猫はもともと、決まった場所で排泄する習性が強い動物です。その習慣が崩れるということは、「崩れるだけの理由が、体のどこかにある」と考えるほうが自然だといわれています。歳をとったから、ぼけてきたから、と最初に決めてしまうと、治せたはずのものを見逃してしまいます。
そして順番としては、①病気じゃないか → ②トイレや部屋の環境 → ③こころの状態。この順で見ていくと、遠回りが少なくなります。
🚨 これだけは、今すぐ動物病院へ

以下の場合は、「様子見」にしてはいけません。
- トイレに何度も入るのに、おしっこが出ていない
- トイレのなかでうずくまって鳴く・力んでいる
- 出ていてもほんの数滴、または血が混じっている
これは尿道がつまっている(尿道閉塞)可能性があります。とくにオスの子で起こりやすく、丸1日〜2日ほどで命に関わる状態になります。夜間でも、休日でも、迷わず受診してください。「便秘かな」と見えることもありますが、おしっこが出ていないほうを先に疑ってください。
ここだけは、はっきりお伝えしておきたいところです。ほかの項目は落ち着いて読んでいただいて大丈夫ですが、この3つに当てはまるときは、記事を閉じて病院に電話をしてください。
トイレの失敗の裏に隠れやすいもの
トイレの失敗に潜む、可能性のある「病気」を調べてみました。急ぎではないけれど、確かめておきたいものを並べます。どれも「歳のせい」に見えてしまうものばかりです。
- 慢性腎臓病(CKD)— おしっこの量が増えるので、今までのペースではトイレが間に合わなくなります。水をよく飲むようになった子はとくに
- 膀胱炎・尿路結石— 排泄のときに痛みがあると、「トイレ=痛い場所」と覚えてしまい、別の場所でするようになることがあるそうです
- 甲状腺機能亢進症— 飲水量・尿量が増えます。食べているのに痩せる、落ち着きがない、といった変化と重なることも
- 糖尿病— こちらも尿の量が増えます
- 関節の痛み(変形性関節症)— またぐ・しゃがむ・ふんばる、が痛い。シニア猫のトイレ問題の、いちばんの隠れ役です
- 便秘・巨大結腸症— うんちが硬くて出しきれず、トイレの外でぽろぽろ落としてしまうことがあります
- 認知機能の変化— トイレの場所そのものが分からなくなることがあります
- 目や耳の衰え— 暗い廊下の先にトイレがあると、たどり着けなくなっていることも
とくに見落とされやすい「関節の痛み」

ここは、少していねいに書かせてください。
12歳以上の猫100頭を調べたアメリカの調査(2002年)では、9割の猫のレントゲンに関節の変化が見つかったと報告されているそうです。つまり、シニア期の猫にとって関節の痛みは「一部の子の話」ではなく、ほとんどの子が多かれ少なかれ抱えているものということになります。
ただしこれは画像に写った変化のことで、9割の子がいま痛みを感じている、という意味ではありません。それでも「シニアなら誰にでも起こりうること」と思っておくくらいが、ちょうどいいのだと思います。
それなのに気づかれにくいのは、猫が足を引きずるような分かりやすい痛がり方をしないからです。かわりに出るのが、こういう変化だといわれています。
- 高いところに登らなくなった/降りるときにためらう
- トイレの縁に前足をかけて、ひと呼吸おいてから入る
- トイレのふちに乗ったまま用を足す(砂の上でふんばれない)
- 毛づくろいが減って、背中やおしりの毛がぱさついてきた
- 触られるのを嫌がる場所ができた・寝る場所が低い位置に変わった
「トイレをまたぐのがつらい」だけが理由なら、トイレを替えるだけで失敗が止まることもあります。逆に言えば、環境を整えても変わらないときは、痛みそのものへの対処が必要なのかもしれません。痛み止めの選択肢もあるそうなので、「うちの子、関節が痛いかもしれません」と一度、動物病院に相談してみる価値はあると思います。

知らないうちに関節を痛めたりしていることもあるので、トイレに入るときや遊びに誘った時の様子を見て気になったら相談してみてもいいかも。
おしっこか、うんちか — どちらの失敗かで見え方が変わります

ひとくちに「トイレの失敗」といっても、中身はけっこう違います。ここを分けて見ると、原因にたどり着きやすくなります。
| よくある背景 | まず試したいこと | |
|---|---|---|
| おしっこの失敗 | 腎臓・膀胱・尿路のトラブル、量が増えている、間に合わない | 受診(尿検査)+トイレを増やす・近くに置く |
| うんちの失敗 | 便秘、関節の痛みでふんばれない、下痢で間に合わない | 受診+踏ん張れる足場・低いトイレ |
| 寝床でしてしまう | 起き上がれない、動くのがつらい、寝ている間に出てしまう | 受診+防水シーツ・寝床のすぐ横にトイレ |
| 立ったまま少量、壁に | 粗相ではなくマーキング(スプレー)の可能性 | 不安の原因さがし(下の項目へ) |

トイレの失敗って、結構色々なパターンがあるんだね。マーキングの可能性があるのも、今までしていなかったら「失敗」と思っちゃうかもしれないね。
「粗相」と「マーキング」は、別のことです
意外と混ざりやすいのが、ここです。見分け方はシンプルで、姿勢を見ます。
- 粗相… しゃがんで、平らな場所に、まとまった量。「したかったけど、そこまで行けなかった」
- マーキング(スプレー)… 立ったまま、しっぽを震わせて、壁や家具のたて面に少量。「ここは自分の場所だと確かめたい」
シニアになってから新しくスプレーが出てきたときは、その子が何かに不安を感じているサインのことがあります。引っ越し、模様替え、来客、同居猫との関係の変化、外に見える猫。あるいは、目や耳が衰えてまわりの様子がつかみにくくなったことそのものが不安の理由になることもあるそうです。
どちらにしても、叱って止まるものではありません。「何が変わったかな」と振り返るほうが、近道になります。
「わざとじゃない」——その子のほうが、戸惑っています
ときどき「怒られたのを根に持って、あてつけでやっている」と言われることがあります。でも、猫が仕返しのために排泄する、という考え方は、いまはあまり支持されていないようです。
きれい好きな猫にとって、自分の体やまわりを汚してしまうのは、本当はとてもイヤなことです。粗相のあとに隠れたり、そわそわしたりするのを見ると「反省している」と感じますが、あれは飼い主さんの声や空気が、いつもと違うことに反応しているだけだといわれています。何が悪かったのかは、その子には分かっていません。
だから、叱るのは、やらないであげてください。効果がないだけならまだいいのですが、実際にはこうなってしまいます。
- 「トイレのあたり=怒られる場所」と結びついて、もっと遠くの、見つからない場所でするようになる
- 怒られたくなくておしっこを我慢する→ 膀胱炎や結石にはいちばん良くない状態になる
- 飼い主さんの前で排泄しなくなり、おしっこの様子が確認できなくなる→ 病気の発見が遅れる
つまり叱ることは、その子を傷つけるだけでなく、体を守るための情報まで見えなくしてしまいます。ここは強く書かせてください。「責めないこと」は、やさしさである以上に、愛猫の健康を正面から考えてあげる核心となります。

責められるとオレオは常に緊張して沢山失敗しそうにゃ。ストレスも溜まって、逆効果になっちゃいそうにゃ💦
動物病院で、うまく伝えるコツ

トイレの様子は、診察室では再現されません。だからこそ、おうちでの記録が、いちばんの手がかりになります。
- いつから始まったか(「先月の中ごろから」でも十分です)
- どこでしてしまうか(トイレのすぐ横/寝床/玄関マット、など)
- 1日の回数と、おしっこの塊の大きさ(固まる砂なら、玉の大きさと数)
- 飲む水の量(後述)と、体重
- トイレに入るときの動画(またぎ方・ためらい・姿勢が、そのまま情報になります)
→トイレが映る場所に「ペットカメラ」を設置すると記録が取れる。
【見守りカメラ】寝ているあいだの様子を、あとから確認できます。※
※SDカード・クラウドストレージサービス(サブスク月額400円程度)が必要
夜鳴きの記録に使うなら、見ておきたいのは暗いところが映るかどうかです。こちらは赤外線の暗視に対応しているので、電気を消したあとの様子も残せます。録画しておけば、朝になってから「何時ごろ、どんなふうに鳴いていたか」を落ち着いて見返せます。
そのまま動物病院で見せられるのが、いちばんの利点だと思っています。診察室では夜鳴きは再現されません。30秒の動画が、言葉を尽くすより正確に伝えてくれます。
ちなみに、双方向で話しかけられる機能もついていますが、夜鳴きの子に声だけ届けるのは、かえって混乱させてしまうことがあります。使うなら、まずは「見るだけ」からがいいかなと思います。↓
「うちの子、おかしいんです」だけだと、獣医師さんも探る範囲が広くなってしまいます。日付と回数のメモが一枚あるだけでも、話がずいぶん早くなります。

動物病院で見てもらう時のために、情報は記録して整理しておくことが大事だね。主治医も判断がしやすくなるね。
飲水量の、かんたんな量り方
朝に器へ入れた水の量をはかり、翌朝に残った量をはかって引き算するだけです。蒸発ぶんが気になるときは、同じ量を入れた器をもう一つ、猫の届かない場所に置いておくと差が出せます。
目安として、体重1kgあたり1日50mlを超えるようなら多め、100mlを超えるとはっきり多いとされているそうです。4kgの子なら、200mlを超えたあたりから気にかけたいところ、ということになります。多飲は、腎臓・甲状腺・糖尿病を疑う入口なので、この数字は病院でとても喜ばれます。
おしっこを持っていくときは
尿検査があると、分かることが一気に増えます。持参できるなら、こんなふうに。
- 採り方… おたま、または専用の採尿キット・採尿シート。しゃがんだところにそっと差し入れます
- 入れ物… 洗って乾かした清潔な容器。使い捨てのしょうゆ差しでも大丈夫です
- 時間… なるべく数時間以内に。すぐ行けないときは冷蔵庫へ(常温より成分が変わりにくいそうです)
- メモ… 採った時刻を必ず書き添えます
床に広がってしまったおしっこでも、写真を撮っておくと色や量の参考になります。「粗相された」とがっかりした瞬間に写真、というのは気が重いのですが、あとで役に立ちます。
【採尿キット】おしっこをし始めたり愛猫のお股に「ウロキャッチャー」の先についている「スポンジ」を潜り込ませて採尿する道具です。使ってみましたが、結構簡単に採尿できて便利でした。愛猫が警戒心強めだと難しいかもしれませんが、おしっこをし始めると途中で止めることはなさそうなので試してみる価値アリです。↓
【健康管理猫砂】鉱物タイプなので重いです。4kgを棚から下ろすのは、それだけでひと仕事です。
それでも挙げたのは、おしっこのpHの変化に気づけるからです。この記事で何度か書いたとおり、トイレの失敗は膀胱炎や結石のサインであることがあります。色が変わっていれば、それは受診の材料になります。
ただ、pHが動いた=病気、ではありません。食事の内容でも変わります。判断するのは先生です。これは「気づくきっかけ」であって、診断の道具ではない——そこだけ、頭の隅に置いておいてください。
粉が立ちにくいのも、体力の落ちてきた子には地味に効きます。↓
できる工夫 — その子が「楽にできる」トイレへ

病気の可能性を確かめたら、つぎは環境です。ここは、今日から手をつけられるところでもあります。
縁の高さを下げる
いちばん効きやすいのが、これです。入口の高さは3cmくらいまでが、シニアの子には入りやすいとされています。若いころに買った「またぐタイプ」のトイレは、関節が痛む子にはかなりの段差です。
買い替える前に試せる方法もあります。トイレの前に、ちいさな踏み台やスロープを置くだけでも、ぐっと入りやすくなります。衣装ケースの一辺を切り欠いて手作りされる方もいますが、その場合は切り口をビニールテープなどで覆ってあげてください。肉球はやわらかいので、ざらついた縁は痛いです。
ただし、縁が低いぶん砂は飛びやすくなります。トイレの下に大きめのマットを敷いておくと、掃除がぐっと楽になります。
【シニア用トイレ】脚が上がりにくい、関節炎がある猫や、トイレを覚えたてと仔猫にも使える高さ伸縮可能なトイレ。「折りたたみ可能なバケツ」と同じ構造になっていて、利便性は高いし、非常用トイレとしても使用できるスグレモノです。↓
【猫砂マット】マット自体が袋状になっていて、上部はネットの状態のため、そこから猫砂が入って、掃除がしやすい状態になる。トイレの「縁」が低いと猫砂がさらに飛び散り、大変な思いをするのは掃除をする方です。これはとても便利。
数を増やして、距離を短くする
トイレの数は「猫の頭数+1」が目安としてよく挙げられます。シニアの子の場合は、数よりも距離が大切かもしれません。
- 寝床から数歩のところに、ひとつ置く
- 階段を上り下りしないと行けない場所にしかないなら、いる階に増やす
- 夜のあいだ、その部屋のドアを閉めない(閉じられた向こうにトイレがある、が失敗のいちばん多い形です)
「粗相する場所」が決まっているなら、思いきってそこにトイレを置いてしまうのもひとつです。負けたような気がしてしまいますが、その子はそこがいい理由を持っていることが多いです。落ち着ける、間に合う、足場がいい。まずそこで成功してもらって、あとから少しずつ動かしていけば大丈夫です。
広さと、足元の安定
トイレの大きさは、その子の体長(鼻からしっぽの付け根まで)の1.5倍ほどが目安といわれています。年をとると体の向きを変えるのがおっくうになるので、狭いトイレは、それだけで失敗の原因になります。
屋根つき・ドームつきのトイレも、シニアの子には少し考えたいところです。中が暗く、出入り口が狭く、方向転換もしづらい。目が見えにくくなってきた子には、開けたトイレのほうが安心なことが多いそうです。
あとは足元です。フローリングに直置きしていると、入るときにトイレごとすべって、その一回で怖い場所になってしまうことがあります。滑り止めマットの上に置いてあげてください。
砂は、やわらかく・細かく
猫はもともと細かい粒の砂を好むといわれています。関節が痛い子や、肉球が薄くなってきた子は、大粒の紙砂や木のペレットを踏むのがつらいこともあるようです。
ただ、砂を替えるときは一気に全部変えないであげてください。猫は足ざわりの変化に敏感なので、「トイレが知らないものになった」と感じて使わなくなることがあります。半分ずつ混ぜて、数日かけて移していくくらいがちょうどいいです。新しい砂のトイレをもうひとつ増やして、選ばせるやり方も安全です。
夜の明かりと、たどり着きやすさ

夜中の失敗が多いなら、ほのかな明かりをひとつ足してみてください。真っ暗ななか、衰えた目でトイレを探すのは、思っている以上に大変です。人感センサーのフットライトなら、つけっぱなしにする必要もありません。
それから、家具の配置をむやみに変えないこと。猫は体で家の地図を覚えています。目が見えにくくなってからの模様替えは、その地図を書き換えさせることになります。夜鳴きの記事にも書きましたが、シニア期は「変えない」こと自体がケアになります。
「失敗してもいい場所」をつくっておく
ここが、実はいちばん飼い主さんを助けてくれます。失敗をゼロにする工夫より、失敗しても3分で片づく状態のほうが、毎日を守ってくれます。
- 寝床とトイレのまわりにペットシーツを敷いておく(大判だと替えの回数が減ります)
- 寝床の下に防水シーツを一枚。ベッドやソファを守れると、気持ちがかなり違います
- カバー類は2枚ずつ持っておく。洗濯が終わるのを待たなくてよくなります
- ラグや布団は、しばらく洗えるものに。畳や絨毯は、上に防水マットを重ねて
【ペットシーツ】洗えるタイプなので、当然ながら洗う手間は増えます。厚みがあるぶん乾きにくく、最低2枚ないと回りません。使い捨てのほうが楽なのは間違いありません。
それでも挙げたのは、「失敗してもいい場所」を置きっぱなしにしておけるからです。使い捨てだと、失敗するかどうかも分からない場所に敷き続けるのが、だんだんもったいなくなります。洗えるものなら、ソファの前でも寝床のわきでも、気兼ねなく敷いておけます。
叱らずに済む環境をつくるという意味では、これは道具というより準備に近いものです。↓
においを残さない(これは機能の話です)
掃除のとき、ひとつだけ気をつけたいことがあります。においが残っていると、その子は「ここがトイレなんだ」ともう一度そこを選んでしまいます。人の鼻で分からなくても、猫には分かります。
そしてアンモニアを含む洗剤は、おしっこのにおいと似ているため、かえって同じ場所をすすめてしまうといわれています。使うなら、尿のにおいのもとを分解するタイプ(酵素系・バイオ系)のペット用消臭剤が向いています。汚れを拭き取ってから、しっかり湿るくらいかけて、自然に乾かすのがコツだそうです。
においが消えると、飼い主さんの心のすり減り方も、はっきり変わります。これは猫のためであると同時に、自分のための道具だと思っています。
【バイオ消臭剤】香りでごまかさないタイプなので、かけた直後に「わ、消えた」という手応えはありません。芳香剤のような満足感を期待すると、肩透かしに感じるかもしれません。
それでも挙げたのは、においが残ると、同じ場所が繰り返し使われるからです。本文にも書いたとおり、これはしつけの話ではなく機能の話です。人の鼻で分からなくなっても、猫には残っています。
パッケージの「最大消臭率98%」は、あくまで最大値です。条件で変わります。一度で完全に消えるものと思わず、失敗した場所に都度使うもの——そう考えておくほうが、がっかりしません。
やらないほうがいいこと

- 叱る・鼻を近づけて分からせようとする… 何が悪いのかは伝わらず、隠れてするようになるだけです。やらないであげてください
- おしっこを減らそうとして、水を控えさせる… これは絶対にやらないでください。腎臓にも尿路にも、いちばん良くない方法です
- トイレの場所を、いきなり遠くへ移す… 「汚されたくない場所」から離すと、失敗はたいてい増えます。動かすなら数十cmずつ
- アンモニア系の洗剤で拭く… においが尿と似ているため、同じ場所での失敗を繰り返す原因になります
- おむつを一日中つけっぱなしにする… 蒸れて皮膚を痛めることがあります。使うなら時間を区切って、外したあとにおしり周りを拭いて乾かしてあげてください
飼い主さんの負担も、減らしていいんです

トイレの失敗が続くと、増えるのは掃除と洗濯だけではありません。「またやってるかもしれない」と、家じゅうを気にしながら過ごす時間が増えます。これがいちばん、じわじわ効いてきます。
だから、手を抜けるところは、遠慮なく抜いてください。
- ラグをたたんで、しばらく拭ける床のままにする
- その子の生活範囲を、片づけやすい部屋に少し寄せる(閉じ込めるのではなく、居心地よく寄せる)
- 洗濯はまとめてしまう。汚れものはフタつきのバケツにひとまとめでかまいません
- 疲れた日は、拭いて消臭スプレーだけ。それで十分な日があってよいと思います
ため息が出てしまう日も、正直あると思います。それはその子への愛情が減ったからではなく、単純に作業が増えているからです。疲れは、気持ちの問題ではありません。
もし限界が近いと感じたら、動物病院で相談してみるのもひとつです。原因への治療で楽になることもありますし、通院や介護のペースそのものを一緒に考えてくれることもあります。抱え込まないことは、手抜きではありません。

「やらなきゃいけない」という気持ちを一時的に減らして、飼い主さん本人も抱え込む事をやめる時間を作ろう!家族と共有して負担分散もしておくといいよ。
よくある質問
Q. 叱らないなら、その場でどうすればいいですか?
できるだけ淡々と、黙って片づけるのがいちばんです。騒がしく反応すると、それ自体がその子にとっての「できごと」になってしまいます。
そのかわり、トイレでちゃんとできたときに、そっと声をかけてあげてください。「できたときにいいことがある」ほうが、猫には届きやすいそうです。おやつでも、なでるだけでもかまいません。
Q. 同じ場所で、何度も繰り返します
まずにおいが残っていないかを疑ってみてください。酵素系の消臭剤で分解しておくと、繰り返しが止まることがあります。
それでも続くなら、その場所にはその子なりの理由があります。静か、暖かい、床が滑らない、寝床から近い。その条件を満たすトイレを、その場所かすぐ近くに置くほうが、追い出すより早く落ち着きます。
Q. トイレの数は、本当に「頭数+1」必要ですか?
置ければ理想的、という目安です。住まいの事情もありますから、そこで悩みこまなくて大丈夫だと思います。
数を増やせないときは、「いま置いてあるトイレを、その子の近くに移す」だけでも効果があります。増やすことより、間に合う距離になっていることが本題です。
Q. 猫用のおむつは使っていいですか?
使ってはいけないものではありません。ただ、常用には向かないと考えておくと安全です。蒸れやすく、皮膚のトラブルにつながることがあるためです。
向いているのは、来客のあいだ、通院の移動中、寝具を守りたい夜だけといった、時間を区切った使い方です。外したあとは、おしり周りを拭いて乾かしてあげてください。寝たきりに近い子の場合は、おむつよりも「寝床に防水シーツ+こまめに交換」のほうが皮膚には優しいことが多いようです。
Q. 粗相のあとに隠れるのは、反省しているからですか?
反省というより、飼い主さんの様子がいつもと違うことに気づいて、身を寄せているのだと考えられています。
切ないのですが、その子には「何が悪かったのか」は結びついていません。だからこそ、隠れさせないことのほうが大事です。見えるところで排泄してくれるというのは、体の変化に気づけるということでもあります。
Q. 認知症でしょうか?
その可能性もありますが、順番としては最後に考えるものです。猫の認知症は一発で分かる検査がなく、ほかの病気を除外していったうえで考えるものだそうです。トイレの失敗も同じで、体の理由をひととおり確かめてからになります。
夜鳴きや、昼夜の逆転、家のなかで迷うようなそぶりが重なっているときは、高齢猫の夜鳴き・認知症の記事もあわせて読んでみてください。
Q. 何歳ごろから気にかければいいですか?
目安としては7歳を過ぎたあたりから、トイレの様子を「見る」習慣にしておくと安心です。失敗が始まってからではなく、入り方・またぎ方・かかる時間を、なんとなく覚えておくくらいでかまいません。
そのうえで、10歳を過ぎたら年1〜2回の健康診断(尿検査を含めて)があると、変化に早く気づけます。おしっこは、猫の体でいちばん早く異変が出るところのひとつです。
【お悩み相談サイト】飼い主の悩みは体験した飼い主さんに聴くと解決につながるかも。飼い主さん同士が情報で助け合うサイトがあります。↓
まとめ — 順番だけ、間違えないように

- トイレに何度も入るのに出ない・血が混じる・うずくまって鳴く → すぐ受診。命に関わります
- 急に失敗が始まったら、まず病気を疑う。腎臓・膀胱・甲状腺、そして関節の痛み
- 叱らない。隠れてするようになると、体の変化まで見えなくなります
- 縁は低く、近くに、広く、明るく。トイレを替えるだけで止まることもあります
- においは酵素系で分解。残っていると同じ場所を繰り返します
- 「失敗しても3分で片づく家」が、いちばん長く続けられます
全部を一度にやろうとしなくて大丈夫です。今日できるのは、トイレに入るところを一度だけ動画に撮ってみること。またぐときにためらいがないか、それだけでも見えてきます。
トイレの失敗は、その子がそれでも自分でしようとしている証でもあります。間に合わなかっただけで、ちゃんと向かおうとしている。そう思うと、床を拭く手つきが、少しだけ変わる気がしています。
介護や晩年のお世話まで見すえた全体像は、猫の介護・晩年のお世話ガイドにまとめています。必要になったとき、そっと開いてみてください。
※ 記事中の「12歳以上の猫の9割」の数字は、Hardie EM, Roe SC, Martin FR. “Radiographic evidence of degenerative joint disease in geriatric cats: 100 cases (1994-1997)”. JAVMA. 2002;220(5):628-632. の報告によるものです。
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※ 本記事は一般的な情報のまとめです。数値は目安であり、その子の状態によって適したものは変わります。気になる症状があるときは、自己判断せず動物病院にご相談ください。
ブログ管理者:jyosui









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